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『万引き家族』が暮らす下町へ ロケ地の合羽橋と南千住を歩く

 「冨士屋さんから紹介していただきました!」と、総菜店「とりふじ」(荒川区南千住1-30-6)にうかがうと「どうぞ! どうぞ!」とすこぶる愛想よく出迎えていただいた。一押しだという「メンコロ」を購入。「そこにソースがあるからたっぷりかけてね!」と気前もいい。牛肉もじゃがいももたっぷり。おーいしーい! これで次のロケ地へと向かう気力が復活した。

実はテレビ出演経験もある有名店(撮影:Avanti Press)

メンコロは180円。ソースもかけ放題!(撮影:Avanti Press)

 続いては、コロッケを食べながら歩く治と祥太が、団地のベランダ状の通路に一人たたずむりんを見かけるシーンのロケ地へ。「肉の冨士屋」から徒歩で15分ほど。冬の寒い日、部屋に入れてもらえないりんが、ぽつねんと座っている姿が甦る。りんを家に連れて帰る二人。誘拐ではないかと責める亜紀に、治は「脅迫も身代金の要求もしていないので誘拐ではない。保護だ」と返す。

(撮影:Avanti Press)

路地の奥の小さな家

 “家族”が住んでいるのは、町工場や商店街とともに、庭が小さめの戸建て住宅が密集する下町という設定。ひと昔前であれば、誰もが顔見知りであっただろう地域だが、いまは昔ながらの住人を失って空き家になっていたり、建て替えられて新たな住人を迎えていたりと、近所付き合いは乏しくなっている。

 年齢層のばらけた大家族が住んでいるのに、その実態に気づく者はいない。子どもたちが、大人もコミュニティと付き合わざるを得ない学校に通っていないのが、大きな理由だと思う。そんな彼らが唯一、交流していたのは、皮肉にも小売りを生業とする商店の人々。物を売る/買うという行為、もしくは物を盗む/盗まれるという行為が、なによりも“家族”が生きていることを示していたのだ。

静かな家(撮影:Avanti Press)

 “家族”が住んでいた家も都内で撮影されているが、こちらは「こんなところに!?」と思うような住宅街のエアポケットにあるので写真で雰囲気だけご紹介。『万引き家族』の住む下町散歩、これにて失礼つかまつる。

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