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京都・映画文化散策~中京区の個性派ミュージアムをめぐる

 ゆったりモードで映画ゆかりの地を訪ね、町を散歩し、美味しいものを食べ、“旅”として楽しむ日本映画散歩の第2弾。今回、ご提案するのは日本映画発祥の地・京都に映画文化をたずねるお散歩。

 真夏の8月某日、私用で大阪に赴き、一泊。翌日、ふと思い立って京都へ向かう。目的はずばり“映画”。それも通常の映画館ではなく、京都の歴史や伝統文化に根差した展示やイベントを定期的に開催している 「京都文化博物館」(京都市中京区三条高倉)。ここにはフィルムシアターも設けられているのだ。

京都文化博物館(撮影:増當竜也)

日本映画誕生の地で名画鑑賞

 大阪から京都まで電車で1時間弱。地下鉄烏丸御池駅から3~4分歩くと、大きく美麗な建物「京都文化博物館」が見えてくる。

奥は新館、手前は別館(写真:京都文化博物館)

別館は旧日本銀行京都支店。現在は重要文化財に指定されている。入場無料(写真:京都文化博物館)

 まず、中の展示は京都の歴史文化遺産などが多角的に網羅されていて、この時点で十分雅(みやび)な趣きにひたれるのだが、フィルムシアターへ移行しても、不思議とその気分は持続する。

フィルムシアター(写真:京都文化博物館)

 東京にも古今東西の名画を鑑賞できる「国立映画アーカイブ」(東京都中央区京橋3-7-6)WEB があるが、フィルムシアターはやはり京都が日本映画誕生の地であり、京都が育んできた貴重な文化のひとつとして映画を捉えている節がさりげなくも感じ取れるのだ。

京都ならではの特別ラインナップ!

 このときの特集上映「特撮魂!」のラインナップも『ゴジラ』(1954)みたいなおなじみのものだけでなく、無声映画の『渋川伴五郎』(1922/日活京都作品)や『新諸国物語 笛吹童子』三部作(1954/東映京都作品)、『釈迦』(1961/大映京都作品)など、京都で制作された作品が多数含まれている。

京都文化博物館の展示案内(撮影:増當竜也)

 私が見ることができたのも、1959年の大映京都作品『女と海賊』。正直、特撮映画として語られることは少ない作品だが、ミニチュアでこしらえた海賊船の海戦シーンなど、なるほど確かに言われてみれば、と観賞しながら納得。それ以上に、半世紀以上も前に京都で撮影された映画を、2018年の今、京都で見ているという不思議な幸福感に包まれる。

 映画の上映が終了するや、年配のお客さん数名から拍手が起きた。当時の作品制作に関与したか、何某かの縁がある人たちだったのかもしれない。

移動の合間も楽しい町

 さて、京都文化博物館からほんの目と鼻の先に 「京都万華鏡ミュージアム」(京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706-3)を見つけたので、休憩がてら世界中のさまざまな華麗な模様をしばし楽しみつつ、次の目的地へ。

京都万華鏡ミュージアム(撮影:増當竜也)

 スマホの地図で確認するとそう遠くなさそうなので、散策がてら移動する。さすがに真夏の京都で狭い路地を20分以上歩き続けて汗だくにはなったが、通りには和洋さまざまなスイーツの洒落たお店なども発見。秋には程よいお散歩コースかもしれない。

本能寺跡の石碑(撮影:増當竜也)

 また道すがら、戦国武将の織田信長が非業の最期を遂げた 「本能寺跡地」(京都市中京区小川通蛸薬師元本能寺町)を発見。実はちょうど京都文化博物館で特集展示「信長上洛~京都・織田信長入京から450年」を見たばかりだったので、思わず足を止めて合掌してしまった。

ファン必見! 親子でも来たいユニーク博物館

 そしてようやく、「おもちゃ映画ミュージアム」(京都市中京区壬生馬場町29-1)に到着。ここは映画草創期の家庭用などの映写機はもとより、それ以前の画像を拡大して映す幻灯機など、プレシネマ期の機材などを多数展示したユニークなミニ博物館なのだ。

おもちゃ映画ミュージアム(撮影:増當竜也)

展示されていた「キング家庭映写機」(撮影:増當竜也)

 また昭和世代には懐かしい家庭用の手回しオモチャ映写機の数々を、実際に触れて遊ぶこともできる。デジタルの時代になって久しい昨今、「映画はなぜ画が動くのか?」という仕組みを現代の子どもたちにわかりやすく伝えるには、やはりこうしたフィルムの玩具が一番だろう。

おもちゃの手回し映写機(撮影:増當竜也)

 さらには全国から寄贈されたフィルムをデジタル・アーカイブ化したものを見ることもできる。懐かしアニメのセル画展示や、映画史をモチーフにしたイベント、子どもたちのための体験講座なども定期的に開催。

 私が入ったときは、ミュージアム会員で映画通のイラストレーター西岡りきさんたちスタッフに温かく出迎えていただき、いろいろ丁寧に解説してもらいつつ、“目玉の松ちゃん”こと尾上松之助主演の無声映画などを拝見することができた。聞くと日本全国はもとより、最近では中国など海外からの来客も増えてきているとのことである。

光学玩具なども展示されており、映画の原理がよくわかる(撮影:増當竜也)

 京都文化博物館のような立派な佇まいのものからおもちゃ映画ミュージアムのような手作り感覚で庶民的味わいのものまで、東京とは一味も二味も違う京都ならではの映像文化と伝統に対する誇りみたいなものまで、とくと堪能させていただいた次第。次はもっと時間の余裕をもってうかがいたいものである。

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