映画祭で食べよう! ③ 鰻と冷麺~韓国の富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭

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 いつも自己紹介文に、映画と旅と食を愛すると書くのだが、それらが合体した祝祭の場が私、マダムアヤコにとっての映画祭。映画には出来、不出来があってもいいが(出来が悪くても魅力的な映画はある)、まずい食事は許せないという思いを年々強くしている。つまらん映画は忘却すればいいが、まずい食事がまずい肉となって自分の体に残るなんて、想像するだに恐ろしい! 一食入魂、これがマダムアヤコのモットーだ。

アジア最大級のジャンル映画の祭典、富川国際ファンタスティック映画祭

 食に執着するマダムが通い続けている映画祭の一つが、富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭。韓国・富川市で、毎年7月中旬に開催される。アジア最大級のジャンル映画の祭典で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭とは姉妹関係にある。日本映画の上映も多く、今年も『狐狼の血』や『クソ野郎と美しき世界』など多くの作品が上映された。

特集で登壇するチョン・ウソン(中央)(撮影:石津文子)

 マダムは2006年から通っているが、街も映画祭もどんどん発展していて、大物スターの参加も増えた。今年は韓国のスター俳優、チョン・ウソン特集が組まれ、トークショーや写真展も開催された。

短編部門の審査員を務めたキム・ジェウクから副賞を渡される辻凪子監督。キム・ジェウクは上映会場を回って熱心に映画を観ていて、同じ列の席に座っていた時はびっくりした!(撮影:石津文子)

 富川はソウルから地下鉄で40分ほどの、人口約90万人を擁するベッドタウンで、デパートやモール、シネコンもたくさんある一方、昔ながらの市場や歓楽街もある町。川崎をイメージしてもらえばいいのかもしれない。実際、川崎市とは姉妹都市だし。

蒸した鰻をBBQスタイルで!

 そんな富川で毎年食べるもの。それは鰻。すぐお隣、仁川の広大な干潟は鰻の養殖で有名。そのためプチョンも鰻屋の数が多い。韓国でも鰻は高級品だが、産地が近いこともあり、丸々と太った鰻が東京よりも安く食べられるのだ。年々、稚魚が減っている鰻だが、その対策なのかはわからないが、こちらではかなり大きくなったものしか食べないようだ。我々が頼んだ鰻も、1匹を3人で食べて十分な大きさだった。

炭火焼のうなぎ。薬味をたっぷり載せて食べるのが、韓国スタイル。汽水域育ちで大きいのが自慢。これで1匹分! 他にアワビなど貝焼きも美味しい(撮影:石津文子)

 富川での鰻の食べ方は、いったん蒸した鰻を、炭火の上で自分で焼きながら食べるBBQスタイル。それを蒲焼き風のタレにつけ、エゴマの葉に包んで食べると、香ばしくて、うんまーい。エゴマの葉のおかげでさっぱり食べられるせいか、どんどんいけちゃう。お好みで醤油や塩、コチュジャンで食べてもよし。

 毎年、映画祭会場近くの鰻屋さんに行くのだが、ここのお母さんがとてもいい人で、いろいろサービスしてくれるのもありがたい。すっかり顔なじみになってしまった。

時間がない映画祭での常食、冷麺!

 もっとも鰻は時間に余裕がないと食べられないが、上映の合間に食べるのは、やっぱり冷麺が一番。今年の富川は特に暑かったので、何度も食べてしまった。こちらも映画祭会場近くに有名専門店がある。

冷麺屋さんは、映画祭ゲストが泊まるホテルの並びにある。運がいいとスターに会えるかも(撮影:石津文子)

 ここの冷麺がとにかくジャンボなのは、韓国相撲のチャンピオンのご実家だからなのだろうか。デカくて、安くて(7000ウォン・約700円)、フードコートなどで食べるより断然美味しい。添えられている大根菜のキムチもさっぱりしていい。

プチョン名物のジャンボ冷麺。洗面器並みの大きさ。ビビン麺もあり(撮影:石津文子)

 今年の富川は「ファンタスティック・ショートフィルム20-ゆうばり短編コレクション部門」で参加した『温泉しかばね芸者』の監督が、舞台挨拶の際に模造刀で誤ってスクリーンに傷をつける事件があり、日本では芳しくない話題で映画祭の名が報道されてしまった。ケガ人がいなくて本当によかったが、映画人として最低限のマナーを教わる機会が今までなかったのか、と大人として苦い気持ちに。

 マダムを含むジャーナリストも、若い人と大事な話をすることが少なくなっているのかも……などと思いつつ、最後の夜に映画祭スタッフに連れられ、初めて食べたスユ(ゆで牛)も、素朴な味でうまかった。映画祭は出会いだわね。

スユ(ゆで牛)。左はスープ煮、右は玉子の衣つき(撮影:石津文子)

こちらはソウルの有名マンドゥ(餃子)店の支店。なんと夏季限定で冷やし水餃子(上)があった。味は…あったかいほう(下)がやっぱり美味しい(撮影:石津文子)

映画際会場に隣接する、現代百貨店のデパ地下には、マンドゥだけでこんなにある。イートインも充実しているので、上映の合間に食べるには便利(撮影:石津文子)


夏の定番デザート、パッピンス。こちらはミルクティー味。小豆が別添えなので食べやすい(撮影:石津文子)

富川国際ファンタスティック映画祭 Bucheon International Fanstastic Film Festival WEB
今年で22回目を数えるアジア最大のジャンル映画祭。今年は高橋洋監督が長編コンペ、俳優キム・ジェウクが短編コンペの審査員を務め、『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)が欧州ファンタスティック映画祭連盟賞、『飢えたライオン』(緒方貴臣監督)、『ぱん。』(阪元裕吾、辻凪子監督)が短編部門審査員賞を受賞した。