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魔女キキの町は実在? 宮崎駿監督作品の舞台を探して【海外編2】

 物語の舞台はイタリアだが、ポルコ・ロッソが武器を買いに行ったり、銀行に用を足しに行ったりする町は、アドリア海に面したクロアチアの小さな港町「ドゥブロヴニク」をモチーフに描かれているようだ。

クロアチアのドゥブロヴニク(Sergey Novikov/stock.adobe.com)

 ドゥブロヴニクは、アドリア海の真珠とも称される美しい町。中世には海洋交易で栄えた城壁に囲まれた都市国家だった。現在は、世界文化遺産となっている。

 ポルコ・ロッソが飛行艇を直しに行くのはミラノの工房という設定。世界恐慌時代のミラノに男はいない。みんな出稼ぎに出ており、工房で働くのも女性ばかり。女性たちは明るく、仕事熱心だが、その多くが黒い服を着ており、第一次大戦で連れ合いを亡くしたことが暗示されている。

『ハウルの動く城』いろいろな場所を混ぜた結果?

 ”荒地の魔女”の呪いで老婆にされ、仕事を失った少女ソフィと、に追われる魔法使いハウルが、国や魔女らの思惑に翻弄されながら、共同生活する中で名前の付けがたい関係を築いていくファンタジー『ハウルの動く城』(2004)。

 原作小説の舞台は作者ダイアナ・ウィン・ジョーンズの出身地、イギリスのウェールズ。小説は老婆にされたソフィがハウルや魔女、王様たちとの冒険で成長を遂げる児童文学だが、宮崎監督はそこに隣国との戦争や、時間・場所が変化していくパラレルワールドの物語を加え、奇妙な味わいのファンタジーとして再構築している。ジョーンズは宮崎監督に、ハウルの性格さえ変えなければどんな改編も許可した。宮崎監督は、「ハウルの派手でハンサムなのに内面になにもない」ところが気に入ったとインタビューに答えている。

 ソフィが住む町キングズベリーは、パステルカラーの建物が並ぶフランスの「コルマール」をモデルにしているようだ。宮崎監督は、『千と千尋の神隠し』のフランス公開の際に、アルザスのほうまでロケハンに行ったのだそう。ただし、舞台を描く際には、「おとぎ話なのでいろいろな場所を混ぜている」。ソフィが佇むあの美しい湖も宮崎監督の記憶に刻まれた風景のひとつなのだ。

フランスのコルマール(Tara-san/PIXTA)

 コルマールは、神聖ローマ帝国時代から続く歴史ある町。建物がカラフルなのは、昔は職業によって家の色を分けていたからだそう。違う職業の者同士が結婚した場合は両方の職業を表す色を外壁に取り入れた。そうやってファンタジーの世界から抜け出たかのような町ができ、宮崎監督を引き付けた。

 宮崎監督作品では、町のほか、美しい草原や湖などが舞台になる。宮崎監督は「すぐに自然環境とのつながりを失ってしまうのはモダニズムの宿命。そのたびにそれを取り戻す努力をするが、まだつながりを失っていない子どもの心にこそ触れる作品を作りたかった」と海外のインタビューで語っている。