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【映画で仮想旅行】名作で観る世界の美術館① アートが見つめる秘密と青春

 小学生と手をつなぎながら展示室に入場し、ドリーム・アカデミーがカバーしたザ・スミスの「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」に乗って、カンディンスキーやジャコメッティ、スーラ、ピカソ、ゴッホらの彫刻や絵画を堪能します。

ライオン像が出迎えるシカゴ美術館エントランス(EugeneF/stock.adobe.com)

 シカゴ・アカデミー・オブ・デザインを前身とするシカゴ美術館は、1879年に開館。1893年のシカゴ万国博覧会の際に建てられた本館をベースに、安藤忠雄が設計した日本ギャラリー、レンゾ・ピアノが設計した新館などが増築され、現在に至っています。絵画や彫刻などの収蔵作品は、古代から現代、アジア、アフリカ、ヨーロッパまで幅広く、フランク・ロイド・ライトらが手掛けた装飾や家具、ステンドグラスなども収蔵されており、建築好きにもたまらない美術館です。

 シカゴは、監督ジョン・ヒューズがそのキャリアを、コピーライターとしてスタートさせた地。やがてニューヨークに移り、雑誌「ナショナル・ランプーン」に出入りするようになって、映画監督になるわけですが、思い出深い青春の地であったことは間違いなさそうです。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー+『007 スカイフォール』

 1824年に開館したイギリスの「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」は、欧州では珍しく王室や貴族の収集品をベースとしない美術館です。小さいながらも欧州の幅広い地域と時代の作品を約2300点所蔵しています。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーが面するトラファルガー広場は観光客と鳩のメッカ(vanhop/stock.adobe.com)

 ここで初顔合わせをするのは、『007 スカイフォール』(2012)のジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)と新任の武器開発係Q(ベン・ウィショー)。トラファルガー広場からナショナル・ギャラリーに入ったボンドは、ウィリアム・ターナー作「戦艦テメレール号(解体のため最後の停泊地に曳航される戦艦テレメール号)」の前でQを待ちます。

 トラファルガー海戦で活躍した戦艦が夕日の中で曳航される様には、なんともいえない切なさが。待ち合わせ場所にこの作品を指定したのが、M(ジュディ・デンチ)なのか、Qなのかはわかりませんが、いずれにしても思わせぶりな場所です。しかも、現れたQは「立派な軍艦もやがてはクズ鉄。時の流れはむごい」と、世代交代を印象付けるようなことを口にして、ボンドをイラつかせます。

 現実のナショナル・ギャラリーが愛され続ける理由については、フレデリック・ワイズマン監督のドキュメンタリー『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』(2014)が渾身の愛をこめて紹介してくれます。

 またナショナル・ギャラリーの学者と勘違いされたMr.ビーンが活躍する『ビーン』(1997)の冒頭にも登場しているので、合わせてご覧いただくと興味深いですよ。

<次回はルーヴル美術館+『ダ・ヴィンチ・コード』、エルミタージュ美術館+『エルミタージュ幻想』をご紹介します!>

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