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【映画で仮想旅行】名作で観る世界の美術館① アートが見つめる秘密と青春

 考えることを止め、感じるのがアート。そして、感じたものを考え続けることが、人が生きるということ……。などと考える今日このごろ、アートが詰め込まれた「美術館」には、この答えを導き出すための要素や人間の生と歴史、そして思惑が交差しているように感じます。

 美術館がさまざまな映画監督を魅了するのもむべなるかな。今回は映画を通じて、世界の有名美術館を見てみましょう。

メトロポリタン美術館+『オーシャンズ8』

 犯罪のプロである7人の女性が、ファッションの祭典「コスチュームインスティテュートガラ」(メットガラ)での宝石強奪を計画する『オーシャンズ8』(2018)。サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、ヘレナ・ボナム・カーターらが主演し、『ハンガー・ゲーム』(2012)のゲーリー・ロスがメガホンを取りました。

 7人の主戦場はニューヨークの“メット”こと「メトロポリタン美術館」。狙うは、ハリウッド女優のダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)が身につける1億5000万ドルの宝石です。

 メットガラとは、メトロポリタン美術館の衣装研究所(コスチュームインスティテュート)が毎年開催する特別展のオープニング・イベント。同館の中でなかなか評価を得られなかった衣装研究所部門が、資金調達を兼ねて1995年に始めました。主催はアメリカ版「ヴォーグ」の編集長アナ・ウィンターが務めており、現在はアメリカで最も大きなファッションの祭典です。

 衣装研究所部門の特別展とメットガラについては、ドキュメンタリー『メットガラ ドレスをまとった美術館』(2016)に詳しく描かれています。

 私立美術館にしてアメリカ最大のメトロポリタン美術館。1870年に開館し、バロック様式のエントランスを含む中央部は、リチャード・モリス・ハントの設計で1902年に竣工されました。アメリカン・ウイングなどは1980年までに異なる建築家で増築されたものです。

 『オーシャンズ8』では、実際のメトロポリタン美術館で2週間ものロケーション撮影が行われました。世界中の重要な芸術作品が展示されたままの美術館で、閉館後の夕方から朝まで行われた撮影は、それは緊張感溢れたものだったそうです。

メトロポリタン美術館のエントランス。建物裏手にはセントラルパークが(rmbarricarte/stock.adobe.com)

 それでも肝の据わったキャストたちは、待機時間にそれら美術品をしっかり堪能したとのこと。宝石を盗み出す鮮やかさに、ゴージャスさが加わっているのは、本物が持つ輝きのおかげともいえそうですね。

 メトロポリタン美術館では、ほかにも『恋人たちの予感』(1989)でサリー(メグ・ライアン)とハリー(ビリー・クリスタル)が男女の友情について意見を異にするシーンや、ウディ・アレン監督の『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996)の冒頭、そして最新作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2019)などが撮影されています。

シカゴ美術館+『フェリスはある朝突然に』

 シカゴの観光的な魅力を余すところなく見せてくれる映画『フェリスはある朝突然に』(1986)は、カルト的人気を博したコメディ。監督は『ブレックファスト・クラブ』(1985)などのジョン・ヒューズです。

 仮病で学校を休んでは、学校のサーバーをハッキングして出席日数を改ざん。親や校長にばれそうになるのを巧みにかわしながら、友人や彼女とシカゴで遊ぶ都会の高校生、フェリス(マシュー・ブロデリック)。フェリスは、「ジョン・レノンは言った。ビートルズより自分を信じる」を座右の銘とするような、人を食った青年です。

 そんなフェリスらが、ウィリス・タワー(2009年以前はシアーズ・タワー)やシカゴ商品取引場、シカゴ・カブスの本拠地リグレー・フィールド、高級レストランなど、平日昼間のシカゴを満喫する途中で立ち寄るのが「シカゴ美術館」。

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