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【映画で仮想旅行】名作で観る世界の橋① 戦いが起こる橋には理由がある

 敵の乗ったヘリコプターをボートで追いかけるボンドとマドレーヌ。やがて彼らはウエストミンスター橋にたどり着きます。決戦の舞台はここ。撮影はビッグ・ベンがあるロンドン一の観光地、ウエストミンスター橋一帯を19時から朝5時までの10時間封鎖して行われたとのこと。歴史あるこの場所が、アクションシーンにリアルさと重みを与えています。

ボンドが対峙するウエストミンスター橋(moofushi/stock.adobe.com)

 ウエストミンスター橋は1861年建造。議事堂であるウエストミンスター宮殿、エリザベス女王の住むバッキンガム宮殿、首相官邸、ロンドン警視庁、ウエストミンスター寺院など政治的中心地のウエストミンスターエリアと、南岸のランベスエリアを結んでいます。

 ほかにも、ダニー・ボイル監督のSFホラー『28日後…』(2002)、ピアース・ブロスナンがジェームス・ボンドを演じた『007 ダイ・アナザー・デイ 』(2002)にも登場します。

『ミッション・インポッシブル』聖人の力を借りる橋

 『007』シリーズがMI6なら、『ミッション・インポッシブル』シリーズは米CIA傘下の極秘諜報部隊 IMF(不可能作戦部隊)の話。その第1弾は若手諜報部員のイーサン・ハント(トム・クルーズ)と仲間たちが、CIAの工作員リストNOCを盗もうとしている犯人の撮影と確保を命じられる『ミッション・インポッシブル』(1996)です。

 場所はチェコ共和国の首都プラハにあるアメリカ大使館。“簡単な仕事”と高をくくって取り掛かるイーサンでしたが、リーダーであるジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)たち仲間全員が殺され、作戦の指令役CIAのキトリッジから裏切り者の疑いをかけられます。

 イーサンの仲間が次々に殺害されるのは、プラハの旧市街でヴルタヴァ川に架かるカレル橋近辺。建築家ペトル・パルレーの設計で1402年に完成し、橋の欄干には計30体の彫刻が並んでいます。

イーサンが最後の仲間を失うカレル橋(Renáta Sedmáková/stock.adobe.com)

 ジムが撃たれてヴルタヴァ川に落ちるとき、ちらりと映る彫像はたぶん1855年に作られた「熾天使に守られた聖フランチェスコ」。犯人の顔が映らないため、この彫刻に導かれたようにも見える演出です。聖フランチェスコは、裕福な家に生まれたものの、服まで父親に返し、キリストへの信仰を誓った清貧の聖人。クリスチャンの方には、ジムは殉教者のように見えたことでしょう。ブライアン・デ・パルマ監督はきっと、そのあたりも想定してロケ地設定をしたのだと思われます。

 このほかにも、アメリカ大使館の外観として使われたカレル橋近くのリヒテンシュタイン宮殿や、イーサンがキトリッジと会う旧市街の広場など、古都プラハの魅力を余すことなく写し取っている作品です。

 また『トリプルX』(2002)や日本の『のだめカンタービレ 最終楽章』(2009、2010)など多くの作品が、この地でロケを行っています。その歴史的景観もさることながら、撮影を行った海外作品に税制控除を適応するなど、国としてロケーション誘致に積極的なことも関係するのかもしれません。

<次回は『ポン・ヌフの恋人』『マディソン郡の橋』をご紹介します!>

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