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【映画で仮想旅行】タランティーノの愛は深い! LA舞台の映画でハリウッドの軌跡を観る②

【2000年代】ロサンゼルスへのラブレター

 2000年代に製作された数々のロサンゼルスを舞台にした映画の中でも、ハリウッドへの愛が充満しているのが、『ラ・ラ・ランド』(2016)と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)です。ともに、ダウンタウンからハリウッド、街並みから自然の中まで、ロサンゼルスの象徴的な場所が次々に登場します。

1. ハリウッドに存在する光と闇を象徴する壁画『ラ・ラ・ランド』

 当時32歳のデミアン・チャゼル監督による『ラ・ラ・ランド』は、女優志望のミア(エマ・ストーン)と、ジャズ・レストラン経営を夢見るジャズ・ピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の恋と夢と挫折と成功を描いたミュージカル映画。オーディションに落ち、パーティに誘われるもノリ切れない傷心のミアが、トボトボ歩くシーンでは、ハリウッド大通り近くにあるスターたちの壁画 ・You Are The Star(ユー・アー・ザ・スター)が映ります。

映画のシーンを思い出しながら歩いてみたくなる壁画前(撮影:町田雪)

 劇場に集ったチャールズ・チャップリンやマリリン・モンロー、クラーク・ゲーブルら往年のスターの前を歩くことで、自身がスター気分を味わえるというものですが、実はこの壁画、実際にはあまり目立たない通り沿いに静かにたたずんでいます。

 これほどのスターが大集合しているのに、なぜか哀愁を感じる……。これこそが、光と闇、成功と挫折が共存するハリウッドの空気そのものなのかもしれません。

2. ハリウッドへ愛を込めて『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

 1969年のロサンゼルスを舞台にその哀愁を描いているのが、タランティーノ監督によるコメディ・ドラマ映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。ピークを過ぎたテレビ俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)と、マイペースな付き人でスタントマンのクリフ(ブラッド・ピット)の視点を通して、ハリウッドの明暗を描いています。

 キャリア再生を渇望するリックが、アル・パチーノ演じるプロデューサーと会合する(その後ろで、クリフがのんきにセロリをかじっている)場面は、ハリウッド大通り沿いにあるセレブ御用達の老舗レストラン「ムッソ&フランク・グリル」で撮影されました。

 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が公開された2019年、100周年を迎えた同店。実際にチャップリンやモンロー、オーソン・ウェルズ、ジョニー・デップ、ジョージ・クルーニー、ハリソン・フォードらハリウッドを代表するスターや巨匠たちに愛され、その歴史をつぶさに眺めてきた店でもあります。

 今となっては、さまざまな店が並ぶハリウッド・ブルバード沿いに静かに佇んでいる印象ですが、1969年の舞台として、この“功労レストラン”を選んだタランティーノのハリウッド愛を感じずにはいられません。

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