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【映画で仮想旅行】鉄オタ監督も? 鉄道登場映画で観る台湾の変化①

 そこはかとない旅情をかき立てる鉄道。なかでも、ノスタルジックなたたずまいが魅力的な台湾の鉄道は、日本との縁が深いのです。日本統治時代の歴史的建造物を見ることができるほか、日本映画のピンチを救ってくれたこともあります。今回は映画の主人公になり切って、車窓から台湾の移り変わりを眺めてみましょう。

ノスタルジックな風景が残る平渓線『恋恋風塵』

 川端康成の「雪国」よろしく、トンネルを抜けると亜熱帯気候特有の深緑を楽しませてくれるのが侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『恋恋風塵』(1987)。1960年代の終わり、地方の村で幼い時からきょうだいのように育ったワン(ワン・ジンウェン)とホン(シン・シューフェン)による、淡く切ない恋愛劇です。

緑豊かな山を進む平渓線(PIXTA)

 2人が通学に、成長後は出稼ぎに出た台北からの帰省にと、まさに生活の足として登場するのが、台湾北部の三貂嶺駅と菁桐駅を走る平渓線。現在は台湾鉄路のローカル線ですが、敷設は日本統治時代の1922(大正11)年、台湾屈指の炭田だった「菁桐坑」を開発するためでした。2人が暮らす村も炭鉱の貧しい村という設定です。

線路脇に店が並ぶ十分老街(photo_HYANG/stock.adobe.com)

 2人は壮大な山と基隆川を背後に抱えた十分駅で乗降し、民家や店舗が立ち並ぶ間を線路が貫く「十分老街」を歩いて帰宅します。風情の塊のようなシーンの連続により、あっという間に映画の世界へ心を持っていかれる瞬間です。

 また、侯孝賢監督は『憂鬱な楽園』(1996)でも、約10年後の平渓線を登場させています。主人公のガオたちが下車する駅は平渓駅です。

ランタンとともに恋心を飛ばす菁桐駅『あの頃、君を追いかけた』

 平渓線はいまや台湾屈指の観光地。台湾の青春映画ブームの火付け役となった『あの頃、君を追いかけた』(2011)では、コートン(クー・チェンドン)とチアイー(ミシェル・チェン)が、それぞれ台北と新竹の大学に進学した後、平渓線の終点である菁桐駅を訪れます。

1929年に建てられ国家三級古跡に指定される菁桐駅舎(撮影:Avanti Press)

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