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行定勲監督 ロケ地を語る① 『セカチュー』の町は指さしで発見?

 朔太郎と亜紀が夕日を見つめて語り合った「王の下沖防波堤」(高松市庵治町王ノ下)、海を一望できる高台の公園のブランコ(高松市庵治町王ノ下5916-2)、重じぃ(山﨑努)が一人で経営する雨平写真館(高松市庵治町5824-4)、朔太郎の家、待ち合わせする神社の階段、ウォークマンが飾ってある町の電気店……。「海には夕日が沈み、すべてがそこにありました」と振り返る。

映画のために建てられた雨平写真館。現在は移築され記念館に

 公開から16年経過した今も、庵治町を中心に「セカチュー」の聖地巡礼に訪れるファンは多い。これには監督も感激しているそうだ。

 「驚きました。道の案内板に“セカチュー愛の聖地”と書かれていました。ロケ場所に行くとブランコのある皇子神社の敷地の金網には無数の錠前がかかっていました。雨平写真館は移築され、記念館『庵治文化館』として保存されていました。映画を観た観光客が今でも訪れるほど有名になって、地元の人たちが少しでも潤うことができたのなら嬉しい」

湿度の高そうなしっとりとした富山県で『ナラタージュ』

 『ナラタージュ』(2017)は島本理生の書き下ろし恋愛小説が原作。ヒロイン泉(有村架純)の高校時代の恩師で、妻のある葉山(松本潤)が、どうしようもなく惹かれ合い、落ちていく……。行定監督自身が「大好き」という、成瀬巳喜男監督の『浮雲』(1955)にオマージュを捧げた作品だ。原作の舞台は東京だが、映画では富山県高岡市と射水市に。

 「プロデューサーから『地方にしてスケールを出したい』と言われ、どこでもない匿名の地方にしたいと思って探しました。富山県は、湿度の高そうなしっとりとした風景が気に入りました。

 黒瓦の屋根、路面電車、海沿いの学校などが素晴らしかった。問題を抱えた教師が逃亡するように赴任している場所として、その淋しさが似合っていたし、教師と元生徒の禁じられた愛に似合ったこの世の果て感が富山の海に感じられました」

万葉線中伏木駅からほど近いところで葉山先生は泉の乗ったレトロ電車を見送った

 葉山宅の外観は、日本海に面した新湊・内川にある庄川河口付近。

 「元々、葉山先生は単身赴任で一人暮らしなのでアパート住まいを考えていましたが、日本のヴェニスと言われている新湊をロケハンしていて、この町の風景が気に入りました」

新湊・内川の街並み

 空き家をいくつか見せてもらったときにふと、葉山がこの町でひっそりと暮らしていたら、というアイデアが浮かんだと続ける。

 「外見はロケで、中は東京のスタジオにセットを組んで、充実した撮影ができました。その家の目の前にある橋のシーンの上で泉と葉山が感情的にぶつかる芝居場は私が一番気に入っている場面になりました」

<次回は『うつくしいひと』『うつくしいひと サバ?』、新作『劇場』のロケ地が登場します!>

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