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【個性的すぎる映画館】ディープなサイレント映画が待つシネマテーク「プラネットプラスワン」

【2020年4月10日現在、上映は一時中止されています。再開予定や新しいスケジュールなどの詳細はFacebookページ@planetplusoneをご覧ください】

 大阪メトロの谷町線で東梅田駅からひとつ、阪急電鉄の大阪梅田駅から歩いても15分ほど。レトロな雑貨屋や古着屋、カフェが並ぶ中崎町駅近くに、シネマテーク「プラネットプラスワン」(大阪市北区中崎2-3-12 2F)はある。梅田芸術劇場や毎日放送本社、梅田ロフトなどがある茶屋町も徒歩圏だ。

ぬくもりが伝わる手書きの看板(撮影:Avanti Press)

日本屈指のキュレーターが選ぶ極上のサイレント映画

 「プラネットプラスワン」とは、日本屈指のキュレーターがいる“シネマテーク”(上映ホールのあるフィルム・アーカイヴのこと)のこと。キュレーターで代表の富岡邦彦さんは「よくミニシアターと言われるけど、うちはミニシアターじゃない。勝手に上映しているだけ」と笑う。

キュレーターで代表の富岡邦彦さん(撮影:Avanti Press)

 では、ここでどんな映画を観ることができるのか? 番組表を見ると、総合タイトル「映画の樹 映画120年の歴史上の古典を発見!」のもと、ローレル&ハーディ喜劇の短編特集から、西部劇の父として知られるトマス・インス製作の日本未公開西部劇、メアリー・ピックフォード主演の日本未公開作、伊藤大輔監督の人情劇『御誂 次郎吉格子』(1931)までと、飛び切り興味深いサイレント映画のラインナップ! 

プラネットプラスワンのシアター(撮影:Avanti Press)

 上映に際しては週に1回、ピアノか、バイオリンによる生演奏がつく。また、サイレント映画を説明するのが弁士ではなく“語り”というのも「プラネットプラスワン」ならでは。語っているのは若手俳優。“それぞれの演者”に修行の場を提供しているのだ。

 「日本映画はフィルムの欠落が多いし、時代劇の言葉は若い観客に理解しにくいので、うちでは“語り”という形で僕が新たに書き起こした台本を語ってもらっています」

 語る演目は『御誂 次郎吉格子』。舞台は大阪で、江戸から逃げてきた鼠小僧次郎吉(大河内傳次郎)が、淀川を京都から大阪へ下っているところで女(伏見直江)と知り合い物語が始まる。

フィルムの速度を変えられる映写機。技術的にそれが可能な映写機を持っているのは、国内では「国立映画アーカイブ」と「京都文化博物館」、「神戸映画資料館」とこちらの4カ所のみ(撮影:Avanti Press)

 「有馬温泉から始まる原作はこの場面はなく、たぶん伊藤大輔の創作だと思います。道頓堀や千日前も出てくるので、もちろんセットですが江戸末期の大阪の風情を味わうこともできます。周りが関西弁で話すなか、江戸っ子の次郎吉は当然、江戸弁だけど、女も江戸弁。武士は、参勤交代があるから江戸弁。岡っ引きになりたい髪結(高勢實乘)は、同心と話すときだけ格好つけて江戸弁ふう。でも普通にしゃべるときは関西弁と、小谷さんがしゃべり分けるので、キャラクターが立って面白いんですよ」

 上映作品に対する愛の深さ! 立て板に水の語り口で、富岡さんは話してくれる。すっかり魅了され、聞き終わる頃にはどうしてもこの作品を観なければと、上映日に再来阪する構想まで練っていた。

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