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中田圭監督が麻布にお店!? 地元住民と映画関係者が飲んで食べる「麻布369」

 六本木のすぐ近く、高級住宅街と知られ、昔ながらの風情ある商店街も残る麻布十番。東京メトロ大江戸線「麻布十番」駅近くに2019年12月9日、小料理店「麻布369(あざぶみろく)」(港区麻布十番2-9-5)がオープンした。

 オーナーは「劇団EXILE」の秋山真太郎が主演した『非金属の夜』(2013年)などで知られる映画監督、中田圭さん。映画監督が飲食店の経営に乗り出した理由とは……。

中田圭監督(撮影:平辻哲也)

映画人一家で英才教育! 中田圭監督のこれまで

 麻布十番駅から2~3分。店はガラス張り。通りからはカウンターが見えて、まるでオシャレなバーのようだ。カウンター9席、奥には最大5席の個室もある。壁にはカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したウォン・カーウァイ監督の代表作『ブエノスアイレス』(1997)の大判ポスターが貼られていた。

 「さっきまで(『クロウ 飛翔伝説』『アイ,ロボット』『キング・オブ・エジプト』の)アレックス・プロヤス監督のデビュー作『スピリッツ・オブ・ジ・エア』(2020年2月8日、デジタルリマスター版でリバイバル公開)を貼っていたんですが、もう少し大きいのがいいかなと思って貼り替えたところだったんですよ。プロヤス監督のサインは1988年当時、映画祭でもらいました」と中田監督。

左/アレックス・プロヤス監督のサイン入りのポスター 右/中田監督の後ろに『ブエノスアイレス』のポスターが(撮影:平辻哲也)

 監督の祖父は俳優の中田弘二、伯父は俳優の中田博久。小さい頃から映画に親しみながら育ち、俳優として『BE FREE!』(1986年)のいじめっ子な生徒役で映画デビューする。1980年代後半から香港に渡り、ツイ・ハーク監督、ウォン・カーウァイ監督、チョウ・ユンファ、レスリー・チャンらと交流。記事執筆、映画出演、脚本執筆などマルチに活動しながら、2000年に『ワイルドナイト』で監督デビューした。

 2020年は『合間にて… between』(森田涼花主演)、『トリカゴ Bird Cage』(水橋研二、美波、美山加恋主演)、『夜へ… for night』(加藤雅也、イ・ウヌ主演)の公開が待機している。

映画監督はなぜ飲食店の経営に乗り出したのか?

 そんな映画監督がなぜ飲食店のオーナーに?

 「昨年9月、映画のクランクインが諸事情で延びてしまった時に、映画出資者の方が『時間があるのだから、店でもやったらどうか』と言ってくれたのがきっかけです。いろいろなことがあれよ、あれよという間に決まり、店を出すことになりました。麻布は小・中学時代を過ごした場所で、2年前から事務所もあるんです」(中田監督)

 店名「麻布369」は、数字が入っていると覚えやすいからと命名。弥勒菩薩の弥勒、発明家ニコラス・テスラが提唱した「宇宙の法則が見える数字」といった意味もあり、縁起のいい数字だ。

まるでオシャレなバーのような外観(撮影:平辻哲也)

 コンセプトは一見バー、中は小料理屋。日本酒は、栄光冨士(純米大吟醸、山形)、花邑(=はなむら、純米酒、秋田)、寫楽(=しゃらく、純米吟醸、福島)など約15種類を用意し、飲んで食べられるお店。店の明かりが灯ると、地元の住民や映画関係者で賑わいを見せる。

 「麻布十番は飲む場所はあるけども、意外と食べられるところはないんですよね。369はずっと飲むこともできますし、ふらっと入って気軽に食事もできる。オープンからは無休で営業し、お客さまの声を聞きながら、いろんなニーズにお応えしようと思っています。例えば、夜メニューという形で定食を用意したり、土日・祝日はハッピーアワー(16〜19時)も設けてみました」

店の奥にある個室は最大5席(撮影:平辻哲也)

 店を切り盛りするのは、マネージャーの安田明未(あけみ)さん。兵庫県出身。長年、テレビ番組の海外販売をする会社に勤務し、3年前に脱サラ。大阪で赤身肉の専門飲食店を経営していたが、体調を壊したため、いったん店を畳んだところに旧知の中田監督からの声がかかった。

 「元々、学生時代から調理師免許を取って、料理教室で講師も務めていました。会社員時代も週末などはパーティーなどで出張シェフなどをやっていたので、ゆくゆくお店を持ちたいと思っていたんです」と話す。

料理教室での講師経験もある安田明未マネージャー(撮影:平辻哲也)

監督特製カレーも!しっかり食事できるメニュー

 お店の自慢はトロアジ、白味噌ホルモン煮込みなど多数。試食させていただいたが、どれも絶品。トロアジはしっかり身が詰まっているし、ホルモンは口の中でとろけていく。

 「肉専門店をやっていましたので、肉には自信があります。白味噌ホルモン煮込みは関東ではあまり食べることができないかもしれませんね。肉刺しもぜひ召し上がっていただきたいです。魚は和歌山・串本から、鶏は鹿児島・知覧から取り寄せた知覧鶏です」(安田さん)

 安田さんが厳選した食材が使われており、酒も肴もどんどん進む。なんと、中田監督自身による手料理もある。特製カレーだ。

左/ちゃんと夕食を取ることができる夜定食 右/中田監督特製カレー(撮影:平辻哲也)

 「僕も3日に1回は鍋を振るっているんです。玉ねぎなどを刻んで、圧力鍋でじっくり煮込む。映画の現場はよく食べる若いスタッフ、キャストもいますから、現場でもよく作っていました。俳優たちも気に入ってくれ、食べに来てくれますね。安田さんが味に手を加えてくれたら、『前よりうまくなった』と言われました。金属製のカレー皿を使い、インスタ映えも狙っています」(中田監督)

 お酒があまり飲めないという人におすすめなのは、キウイ、マンゴーなど生フルーツをたっぷりと使ったサワー。もちろん、アルコール抜きもできる。夜定食メニュー(1500円~)はメインのほか、ご飯、小鉢、味噌汁、漬物付き。トロアジ、さばみりん、さんまの開き、黒毛和牛メンチカツ、知覧鶏親子丼など約13種類から選ぶことができ、黒毛和牛メンチカツ、黒毛和牛コロッケ、カニクリームコロッケ、カレー、知覧鶏親子丼は持ち帰りOKだ。

鮮やかな色合いのキウイサワーとマンゴサワー(撮影:平辻哲也)

 「例えば、(映画や演劇関係者が集まる)新宿・ゴールデン街だったら、映画に特化した店になったと思うんですけども、ここは麻布十番。映画に限らず、いろいろな方に集まっていただき、居心地のいい店にしたいと思っています。なんと言っても、安田さんが素敵なので常連さんも幅広く様々ですね」(中田監督)

店の前に立つ安田さんと中田監督(撮影:平辻哲也)

ロケハンも、キャスティングも大成功だったようだ。安田さんも「偶然来られたお客さんが、映画の話で盛り上がったり、監督さんがオーナーと言ったら、『応援したい』と言ってくださります」と話す。

お酒をきっかけに、ここから新たな映画企画が生まれることもありそうだ。

麻布369(あさぶみろく)
電話番号 070-1562-0369 
LINE ID azabu369
住所 東京都港区麻布十番1-9-11 CIMA Azabujuban 1F
営業時間 18:00~翌2:00(火~土)18:00~0:00(日祝)月曜定休

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