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売れっ子や若手スターが集合! 第4回マカオ国際映画祭に見えた成長

 東洋と西洋の文化が交流する中華人民共和国マカオ特別行政区で、第4回マカオ国際映画祭が2019年12月5日~10日、マカオ文化センターなどで開催された。

 第1回は、開幕直前にディレクターのマルコ・ミュラーが辞任するというドタバタ劇があったが、年を重ねるごとに映画祭の体制も、方向性も固まり、観客も増えてきた。第4回で見えてきた映画祭の成長を追う。

“招福駆邪”(福を招き、邪をはらう)の開幕セレモニー。(左2番目から)アーティスティック・ディレクターのマイク・グッドリッジ、インターナショナル・コンペティション部門の審査員ピーター・チャン監督、映画祭プレジデントのマリア・エレナ・デ・セナ・フェルナンデス、ニュー・チャイニーズ・シネマ部門の審査員クリスティアン・ムンジウ監督(写真:マカオ国際映画祭)

映画祭の力で集められた豪華ゲストたち

 中国は今、自国の映像作家の育成に力を入れているようだ。少なくとも同時期(12月上旬)に、「中国国際ニューメディア短編映画祭」(深圳市)と「海南島国際映画祭」(海南省)が開催されている。映画祭バブル到来と言っても過言ではない。

 こういう場合、スターを招いてアピールに余念がないのはどこも同じ。その役割を担うのがタレント・アンバサダー。

 今年は韓国の人気グループ「EXO」のメンバーであるスホが俳優キム・ジュンミョンとして、さらに是枝裕和監督『真実』(2019)の仏女優ジュリエット・ビノシュ、そして香港女優カリーナ・ラウが務めた。

左/オープニングのレッドカーペットに登壇したタレント・アンバサダーのキム・ジュンミョン(EXO スホ)(写真:マカオ国際映画祭)右/クロージング・セレモニーで一際目立っていたタレント・アンバサダーのジュリエット・ビノシュ。衣装は仏のブランドBALMAIN(撮影:相原裕美)

 彼らが開閉幕式に登場して花を飾り、さらにマスタークラスには、『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』(2019)や『イエスタデイ』(2019)で全世界の人々のハートを鷲掴みにした英国女優リリー・ジェームズが登壇。

 アルフレッド・ヒッチコック監督の名作をNetflixとワーキング・タイトル(英のプロダクション)が再映画化することで話題の『レベッカ』を撮り終え、新たにサイモン・ストーン監督『The Dig』を撮影中という多忙な中でのマカオ入り。リリー・ジェームズを選ぶセンスの良さと、注目の超売れっ子女優を招聘できるパワーを実感する。

マスタークラスに登壇した英女優リリー・ジェームズ(写真:マカオ国際映画祭)

日本映画にも注目したプログラム

 作品のセレクションも「いかにして現地の観客の関心を惹きつけるか?」を強く意識。日本作品は、出演ドラマがアジア圏で配信されていて人気の高い窪田正孝主演の『初恋』(2020年2月28日公開)を、エッジの効いたジャンル映画を集めた「フライング・ダガーズ」部門で上映。

(左から)『初恋』のベッキー、内野聖陽、窪田正孝、三池崇史監督

 さらに、宝田明出演の『ダンスウィズミー』(2019)も特別上映された。

 宝田は、『ゴジラ』(1954)の主演俳優としてだけでなく、往年の香港スターであるユー・ミンと共演したラブロマンス映画『香港の夜』(1961)、『香港の星』(1962)、『ホノルル・東京・香港』(1963)の3部作でアジアでも知られている。

(左から)『ダンスウィズミー』の舞台挨拶を行った宝田明、映画祭のアーティスティック・ディレクターのマイク・グッドリッジ、矢口史靖監督(撮影:中山治美)

 幼少時代を満州で過ごした宝田は舞台挨拶を中国語で行い、香港の映画スタッフとも麻雀で交流したエピソードを披露して観客を沸かせ、エンターテイナーぶりを発揮した。新作の紹介だけでなく、日本とアジアを股にかけた映画史にもスポットが当たることを考慮したプログラマーの目利きが光る選考だ。

アジア各国の若手スターも一堂に

 そして今年3回目で恒例になりつつあるのが、「アジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワード」だ。米誌「Variety」が期待するアジアの次世代スターに贈られ、授賞式はクロージング・セレモニーで行われる。

 今回選ばれたのは片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、初主演映画『EXIT イグジット』(2019)が韓国で大ヒットした「少女時代」のユナ、ドキュメンタリー映画『BNK48: Girls Don’t Cry』(2018)が話題となったタイのアイドルグループ「BNK48」のプレーワー・スタムポンとジェニス・オープラサートら8人。

左/クロージング・セレモニーに参加した片寄涼太 右/「BNK48」のプレーワー・スタムポン(左)とジェニス・オープラサート(写真:マカオ国際映画祭)

 過去には『デッドプール2』(2018)の忽那汐里、ポン・ジュノ監督のNetflixオリジナル映画『オクジャ/okja』(2017/Netflixで配信中)のアン・ソヒョンらが選ばれている。

 アジア各国の若手スターが一堂に会するのは実に壮観だ。ここから世界へといち早く羽ばたいていくのは誰か。数年後の楽しみが増えた。

<次回はマカオ地元監督と行くウォーキングツアーをご紹介!>

第4回マカオ国際映画祭(2019)受賞結果
【インターナショナル・コンペティション部門】

最優秀作品賞:キリル・ミハノフスキー監督『ギブ・ミー・リバティ(英題)』(アメリカ)
最優秀監督賞:ファイザル・ボウリファ監督『リン+ルーシー(原題)』(イギリス・フランス)
最優秀女優賞:ロザンヌ・スクリムショウ『リン+ルーシー(原題)』(イギリス・フランス)
最優秀男優賞:サーム・ヘン『ボイエンシー(原題)』(オーストラリア)
最優秀脚本賞:ヘイミッシュ・ベネット『ベルバード(原題)』(ニュージーランド)
【ニュー・チャイニーズ・シネマ部門】
最優秀作品賞:グー・シャオガン監督『春江水暖』(中国)
最優秀監督賞:アンソニー・チェン監督『熱帯雨』(シンガポール ・台湾)
最優秀脚本賞:ジョニー・マー『トゥ・リブ・トゥ・シング(英題)』(中国・フランス)
最優秀女優賞:チョウ・ドンユイ『ベター・デイズ(英題)』(香港・中国)
最優秀男優賞:ウ・シャオリャン『ウィズダム・トゥース(英題)』(中国)
【その他の賞】
最優秀短編賞:ジェニー・ワン監督『ロンリー・エンカウンター(英題)』(香港)
マカオ観客賞:ロッド・ラスジェン監督『ボイエンシー(原題)』(オーストラリア)
アジア・ブロックバスター・フィルム2019:ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(韓国)
NETPAC賞(最優秀アジア映画賞):ジョニー・マー監督『トゥ・リブ・トゥ・シング(英題)』(中国・フランス) 
スピリット・オブ・シネマ名誉賞(功労賞):リー・シャオホン監督
【アジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワード】
片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、ユナ(少女時代)、プレーワー・スタムポン(BNK48)、ジェニス・オープラサート(BNK48)、アスマラ・アビゲイル、リエン・ビン・ファット、ベア・アロンソ、ブミ・ベドニカル
マカオ国際映画祭
マカオ(中華人民共和国マカオ特別行政区)で開催される国際映画祭。2016年より、マカオの国際的知名度向上と観光振興などを目的にスタート。毎年、世界各国から豪華なゲストを迎えていることでも注目を集める。日本からも映画やキャストが参加しており、2019年は三池崇史監督や矢口史靖監督らが参加。日本勢はこれまで、2017年に女優の忽那汐里が「アジアン・スターズ・アップ・ネクスト・アワード」を、2018年に奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』がスペシャル・メンション・アワードを受賞している。2019年は、マカオ特別行政区成立20周年を記念した企画も行われた。

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