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【個性的すぎる映画館】『天気の子』の監督も!? 若き映像作家を応援する「下北沢トリウッド」

 演劇の街として知られる“シモキタ”こと東京・下北沢に映画館「下北沢トリウッド」(以下、トリウッド)が誕生して、2019年12月22日で開館20年を迎えます。1999年の開館当初はコンパクトに思えた47席も、その座席数を下回るミニシアターも増えて今やスタンダートサイズ。再開発で劇的な変貌を遂げる町の中で、地域に根ざしたトリウッドの歩みを振り返ります。

トリウッドの外観(撮影:中山治美)

新海ファンの聖地! 若き才能を応援するミニシアター

 トリウッドに到着すると、まず目に飛び込んでくるのは「Theater for short films」の文字。専門学校「東京ビジュアルアーツ」の講師だった大槻貴宏氏(現在のトリウッド支配人)が当時、通産省(現在の経済産業省)によるベンチャー企業支援事業の助成金を得て「自主映画を製作している若者にもチャンスを」と、短編映画専門映画館としてスタートした時の名残です。映画館のオープニング作品は「東京ビジュアルアーツ」に学んだ深川栄洋監督の卒業制作短編『全力ボンバイエ!』(1999)。

看板には短編映画専門映画館時代の名残が(撮影:中山治美)

 2002年には新海誠監督が短編『ほしのこえ』で商業デビューを果たし、トリウッドは新海ファンの聖地としても知られています。開館20周年を迎えた2019年は、年明けから記念イベント「新海誠監督特集2019」を開催。第1弾で『ほしのこえ』、第3弾で『天気の子』(2019)公開を記念して、『彼女と彼女の猫』(2000)から『君の名は。』(2016)まで7本を上映しました。

 開館20周年記念としては他にも、夏にトリウッド開館と同じ1999年から海外アニメーションのトレンドを伝えてきた特集上映プログラム「WAT2019 世界のアニメーションシアター」が開催されました。今回は「ヴィジュアルに、発信する女性たち」と題し、女性監督のドキュメンタリーアニメーションを特集したことも話題に。

「世界のアニメーションシアター WAT」参加監督たちのサイン入り『Birth』シリーズ特製ポストカード(撮影:中山治美)

自主制作の短編を上映するならココ!

 トリウッドにDCP上映の機材はなく、ブルーレイやDVDなどでの上映ですが、『君の名は。』を上映したいがために、わざわざ機材をレンタルしたそうです。劇場ロビーには、新海監督から届いた20周年記念を祝福する花が大事に飾られていました。

20周年のお祝いに、新海誠監督から届いたお花(撮影:中山治美)

 「『君の名は。』はもうDVDが発売されているのに、トリウッドで観たいと多くのファンの方がいらしてくれました」とスタッフの山本達也さん。現在は長編、短編にかかわらず上映していますが「直すのも面倒だから」と看板はそのままにしているとか。これはこれでトリウッドの貴重な歴史です。

劇場スタッフの山本達也さんは「東京ビジュアルアーツ」の映画学科出身(撮影:中山治美)

 ロビーは赤、館内の椅子は特注で製作した黄色と、若者の町にふさわしいファッショナブルな内装のトリウッド。名物は「スニークプレビュー」という50分以内の時間貸しと、1週間興行も可能な「レンタルスペース」。つまり自主上映が可能ということで、47席というサイズもそれを鑑みてのことなのだそう。今やハリウッド監督となった清水崇監督も、かつて自主上映を行ったことがあるそうです。

 「インディペンデントの短編を上映するならトリウッドという認知度は広まったと思います。でも最近は、ウェブ上で公開するなど上映の方法が多様になり、借りる人が少なくなりました。それも時代の変化でしょうか」

左/ロビーは赤が基調 右/可愛い黄色の座席が印象的な劇場は、ファッション誌の撮影に使用されることも(撮影:中山治美)

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