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山に囲まれた秩父で交差する“青春” 『空の青さを知る人よ』ロケ地を歩く

 『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2013)と『心が叫びたがってるんだ。』(2015)に続く、秩父3部作の最新作『空の青さを知る人よ』(空青)。長井龍雪監督と秩父市出身の脚本家・岡田麿里、キャラクターデザイン&総作画監督の田中将賀によるクリエイターチーム「超平和バスターズ」が再集結したオリジナルストーリーです。“大人も泣ける”感動アニメの聖地として、多くの巡礼者を持つ埼玉県・秩父市を、最新作『空青』の視点から歩いてみました。

姉のあかね(左)と妹のあおい 『空の青さを知る人よ』10月11日全国東宝系にてロードショー(C)2019 SORAAO PROJECT

ベースをこよなく愛する女子高生・相生あおい(若山詩音)は姉のあかね(吉岡里帆)と2人暮らし。13年前に両親を事故で亡くしてからはあかねが親代わりだが、負い目を感じて自らの進路を決めかねていた。そんな2人の前に、かつて姉の恋人だった金室慎之介と、慎之介の高校時代の幻影(?)“しんの”(どちらも吉沢亮)が現れる。あかねは13年前、ミュージシャンになる夢を抱いた“しんの”との上京を断念していた。

驚きの西武秩父駅の賑わい

 降り立った西武鉄道・西武秩父駅はなんともにぎやか。予告編にある、山に囲まれた「巨大な牢獄」という設定とはほど遠いイメージです。劇中、町で開催される音楽祭“音楽の都フェスティバル”のゲスト、紅白にも出演した大物歌手の新渡戸団吉(松平健)のバックミュージシャンとして、金室慎之介はうだつの上がらない姿で登場します。

みやげ市に駅前温泉まで完備された西武秩父駅(撮影:Avanti Press)

 彼らを、横断幕を持って駅で出迎えるのは、かつての恋人である市役所勤めのあかね、バンド仲間だった“みちんこ”こと中村正道(落合福嗣)、息子の正嗣(大地葉)、そしてあおい。新渡戸一行はトラックでやってきてがっくりな展開となるなか、あかねはやさぐれた慎之介と再会します。池袋から西武線の特急ラビュー・レッドアロー号でたった1時間半の距離なのに、13年も帰郷できない慎之介。帰郷を阻んでいたのはなにかと考えてしまいます。

あかねやみちんこが横断幕で出迎える西武秩父駅(撮影:Avanti Press)

 あおいは幼い頃“しんの”(=慎之介)から、「ベースを弾く女子はカッコいい」、「眼球にほくろがあると“スター”になれる」と焚きつけられ、成長するにつれ、音楽を愛し、ミュージシャンになることを夢見ます。ベースの練習に励むのは、秩父3部作でどの作品にも登場する旧秩父橋や、しんのやみちんこも使っていた古い集会場。

あおいの練習場所のひとつ、秩父3部作でどの作品にも登場する旧秩父橋(撮影:Avanti Press)

 13年前の姿で18歳の“しんの”が現れるのは集会場です。“しんの”は、結界でも張られたように集会場から出ることができません。だから現在の自分自身(慎之介)とも、あかねとも会うことはなく、18歳に成長したあおいのみ関係を再構築し、“しんの”に恋心を抱いていきます。

集会場に現れたしんの 『空の青さを知る人よ』10月11日全国東宝系にてロードショー(C)2019 SORAAO PROJECT

一方、31歳になった慎之介は、ダメ男っぷりを炸裂させながらあかねに迫り、幻滅させます。決定的に別れたわけでもない2人は宙ぶらりんな関係。結界から出られないのは、慎之介なのかもしれません。

現在の慎之介はダメ男っぷりが炸裂 『空の青さを知る人よ』10月11日全国東宝系にてロードショー(C)2019 SORAAO PROJECT

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