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【日本の映画祭】熱海のために怪獣たちが結集! かつて“破壊”された街で熱海怪獣映画祭

 「熱海国際映画祭」の開催をめぐって市と運営会社が対立した熱海市で、2019年11月22日(金)~24日(日)に「第2回熱海怪獣映画祭」が開催される。企画は市民有志による「一般社団法人 熱海怪獣映画祭」。熱海は『キングコング対ゴジラ』(1962)など怪獣映画の舞台となっていることから、“怪獣映画の聖地”として世界へ発信したい考えだ。かつて、観光名所の一つ、熱海城など街を壊した怪獣たちが観光客誘致に貢献するか?

2018年に開催された「第1回熱海怪獣映画祭」(撮影:永田雅之)

「残念すぎる映画祭」の隣で盛り上がる熱海愛

 海と温泉などの観光スポットを有する熱海は、JR東京駅から新幹線で約46分とアクセス至便。サンビーチに建ち並ぶホテル群から“日本のカンヌ”とも言われている。日本版「カンヌ国際映画祭」を目指した「熱海国際映画祭」は2018年6月、鳴り物入りでスタートしたが、失敗に終わってしまった。第2回の開催1カ月前には、PR不足による約1465万円の大赤字とグランプリ賞金の未払いが発覚し、市と運営会社が対立。結局、運営会社が新たに別会場を探し、独自で映画祭を開催した。

“日本のカンヌ”とも言われる熱海(写真:pixta)

 しかし、準備不足はどうにも補えなかった。華やかなはずのレッドカーペットセレモニーの見物人はほぼ皆無。レッドカーペットには風対策の石が置かれる中、審査委員の桃井かおりらが練り歩くという“惨状”。ネット上では「残念すぎる映画祭」として話題になっていた。そんな中、熱海出身・熱海在住の映画を愛する市民が今、力を入れているのが「熱海怪獣映画祭」なのだ。

熱海と怪獣の意外なつながり

 きっかけは2017年10月深夜、熱海駅近くの飲み屋「一期庵」(熱海市田原本町5-6)で繰り広げられたママと脚本家・伊藤和典さん(熱海市在住)のなにげない会話だった。「何かワクワクすることができないか」とのママの問いに、平成ガメラシリーズの脚本家として知られている伊藤さんは「映画祭をやったらいいんじゃないか」と答えた。

 熱海市は『キングコング対ゴジラ』を始め、怪獣映画の舞台となった地。今でこそ映画館は1つもないが、映画全盛期には「熱海ロマンス座」(2002年閉館、建物は現存)を始めとする東宝、東映、日活、大映系など5館の映画館がメインストリートに並ぶ“映画の街”だったからだ。

熱海市最後の映画館となった「熱海ロマンス座」。2002年に閉館となったが建物はそのまま残っており、タイムスリップしたかのよう(撮影:平辻哲也)

 そうしてバブル崩壊前の賑わいを取り戻すべく、“熱海をこよなく愛する市民”という共通項で仲間が結集した。世界に誇れるポップカルチャー「怪獣映画」で熱海の魅力を発信しようと、2018年10月27日に「第1回熱海怪獣映画祭」を開催。伊藤さんが脚本を手掛けた『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)の上映や、伊藤さんと『シン・ゴジラ』(2016)の樋口真嗣監督らがトークイベントを行い約250人の観客を集めた。この成功体験をもとに、映画祭実行委員会のメンバーは活動をさらに本格化。2019年4月には「一般社団法人 熱海怪獣映画祭」として法人格を取得した。

2018年6月30日に行われた「熱海怪獣映画祭presentsトークショー」の様子。(左から)伊藤さん、樋口監督、井上誠さん、長谷川圭一さん。長谷川さんは熱海出身の脚本家で、ウルトラマンシリーズを執筆(撮影:永田雅之)

 「第1回目はいろんなことがありましたね。映画のことを知らない素人が映画祭をやろうとしたわけですから。フィルムを借りようとして、けんもほろろに断られたこともありました」。こう話してくれたのは「熱海怪獣映画祭」代表理事の永田雅之さん。3年前に旅行で訪れた熱海に魅了され、2年前に移住を決めた新住民だ。熱海には、新住民と昔ながらの市民が融合できる風土があったという。「都内でテレビ関係の仕事をしていたのですが、最近はネット環境も整っていますし、熱海は都内からも近いので仕事もできます。すぐに街づくりのグループの方々と仲良くなり、大好きな映画で街を盛り上げたいと思ったんです」。

 実行委員会のコアメンバーには、熱海ゆかりの映画人が集まった。伊藤さんがスーパーバイザーに就任したほか、ゴジラ音楽を手掛けた伊福部昭さんの研究家でも知られる音楽家・井上誠さん(熱海市出身)も参加。こうした縁もあって、「怪獣絵師」として知られる怪獣イラストの第一人者、開田裕治さんがオリジナルポスターを描き下ろした。また、「静岡県文化プログラム」や「熱海市観光まちづくり事業費補助金」といった市や県の事業にも認定され、商店街や飲食店も協力している。

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