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踊りたくなる! 旅するミュージカルコメディ『ダンスウィズミー』の舞台裏

 久々の邦画ミュージカルとして話題の映画『ダンスウィズミー』は、「日常生活でいきなり人々が歌って踊り出すってヘンじゃない!?」という、ミュージカルの根幹を揺るがす疑問から生まれた、予測不能なコメディでもあります。

『ダンスウィズミー』全国ロードショー中 (c) 2019映画「ダンスウィズミー」製作委員会

 音楽を聴くといつでもどこでも「カラダが勝手にミュージカル」してしまう催眠をかけられたOL・静香(三吉彩花)。催眠術をかけたのはマーチン上田(宝田明)。これじゃまともな日常生活が送れない! と夜逃げした彼を追いかけ、静香は日本中を奔走するハメに。はたして彼女の運命はいかに!? 

 本作のメガホンをとったのは『ウォーターボーイズ』(2001)、『スウィングガールズ』(2004)、『ハッピーフライト』(2008)の矢口史靖監督! それでは、この映画の舞台裏を少しだけご紹介しましょう。

オフィスロケ前は徹底したリハーサル

 憧れの大手商社への就職を果たし、ちょっと背伸びしつつもキラキラOLをめざして奮闘する静香。しかし重要なプレゼンの席上で、PCから流れる音楽を耳にした静香は、催眠術によって華麗に歌って踊り出してしまいます。会社員生命の絶体絶命ぶりとは裏腹に、静香が多幸感に満ちた表情を見せるこの場面は、西新宿の高層ビルにある実際のオフィスを貸し切って撮影されました。orange pekoeの「Happy Valley」(2002)にのって総勢40人が一斉に踊るダンスは、クランクイン前から、ロケ地のオフィスのレイアウトを再現したスタジオで、徹底的にリハーサルを行った末に完成。本番では、躍動感に満ちたカメラワークで撮影されていきました。

『ダンスウィズミー』全国ロードショー中 (c) 2019映画「ダンスウィズミー」製作委員会

 クライマックスでは、色とりどりの紙吹雪(傍から見ればシュレッダーのゴミ!)が舞い散る中で、三吉彩花さん演じる静香がまるでランウェイを歩くかのように、優雅なステップを披露! ミュージカルの掴みとなるこの群舞は、撮影を見守る我々の心をときめかせ、ミュージカルっていいなと思わせる迫力がありました。撮影後、スタッフと一緒に紙吹雪を集めていた三吉さんの姿にもときめきましたが!

レストランで大暴れ! ポールダンスの訓練も

 憧れの先輩・村上(三浦貴大)に食事に誘われ、静香は高級レストランへ。ところがバンドがバースデーサプライズの生演奏を始めてしまい、静香は図らずも、山本リンダの大ヒット曲「狙いうち」(1973)を熱唱しながら、レストランで大暴れ! 撮影は、以前はレストランとして営業していた東京郊外のスタジオで行われました。ここは地中海風の外観を持つスタジオで、大きな窓と天上の高いホールが特徴。ホールには美術さんによってポールのついたバーカウンターも設置されました。劇中のアクロバティックでコミカルなダンスシーンは、これらが揃ってこそ撮影できたもの。大きな窓を活かし方も、矢口監督ならでは。ぜひ注目して欲しいシーンのひとつです。

『ダンスウィズミー』全国ロードショー中 (c) 2019映画「ダンスウィズミー」製作委員会

 ここでの三吉さんのダンスとアクロバットは、これまでの矢口監督作品同様、すべて自身で行っています。三吉さんはこのシーンのためだけに、テーブルクロス引きにポールダンス、そして空中ブランコのトレーニングを積んだそう。その甲斐あって三吉さんは、劇中の三回連続のクロス引きを1テイクで成功させています。さらに、空中ブランコでもアクション女優顔負けのダイナミックな動きを見せてくれています。

ロードムービーに? マーチンを探して新潟へ

 ミュージカルの催眠を解かない限り、まともな日常生活は戻らない! 静香は、サクラとして催眠術ショーの片棒を担いでいた千絵(やしろ優)のクルマで、調査員の渡辺(ムロツヨシ)がマーチンを目撃したという新潟に向かいます。お調子者でチャランポランな千絵と、正反対のキャラクターの静香。矢口監督は、C-3POとR2-D2をイメージしたと語っていました。2人の旅が、次第にロードムービー的な味わいになっていくのも本作の面白さのポイントです。

『ダンスウィズミー』全国ロードショー中 (c) 2019映画「ダンスウィズミー」製作委員会

 そんな車中では、ある事件をキッカケに、これまで音楽(歌って踊ること)から逃げ続けてきた静香がカーラジオから流れる井上陽水の「夢の中へ」(1973)に身を任せ、千絵と一緒に歌って踊ります。静香が、積極的に音楽に関わり始める意思を示す、重要な場面と言えるでしょう。

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