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ロケ地常連の東京・下北沢が再開発で変貌? 街の魅力と未来を考える「SHIMOKITA VOICE」

シモキタの魅力は路地に! 再開発の現状は?

 青山監督も言います。「東京はくまなくロケハンしましたけど、歴史のある街には面白い路地がある。シモキタを撮ると、(シモキタを舞台にした萩原朔太郎の)『猫町』の感覚ですよね。猫の目線で映画人がしゃがみ込んで路地を見たり、どこかの建物から覗き込んだりと、映画の最も基本な在り方になりますけど、シモキタに住んでいた作家たちの多くも、いろいろな路地の、いろいろな家の人を覗き見しては(執筆の)参考にしたのでないだろうか」

駅から徒歩約10分の住宅地には、約400年の歴史を持つ森巌寺が。門前には打心蕎庵というこれまた風情ある蕎麦店もある(撮影:中山治美)

 「猫町」で主人公は迷路のような街に迷い込みますが、そうそう! シモキタは駅だけじゃなく街そのものが迷路。それがまた街の魅力となっていて、[SHIMOKITA VOICE」実行委員長であるミュージシャンの河野義家さんは「駅周辺にコンパクトだけど商業施設がぎっしり詰まっていて、いろんなことに触発される場所。路地を歩いていると、いつの間にか自分の欲するものに到達して、今も常に発見がある」と言います。だからこそ彼らは「(再開発による)大きな道路はこの街にはいらない」とキッパリ。

 ただ残念なことに、トークライブ「〈和解〉から〈協働〉へ、その現在と未来」に登壇した龍谷大学政策学部教授・服部圭郎さんの調査によると、シモキタの名所だった“開かずの踏切が”無くなった2013年から2019年の間で、存続していた店舗の割合はなんと55%とか。街の顔となる前に、店舗が消えていくのは寂しいものです。

「〈和解〉から〈協働〉へ、その現在と未来」に参加した(写真左から)龍谷大学政策学部教授・服部圭郎さん、世田谷区長・保坂展人さん、SHIMOKITA VOICE実行委員長・河野義家さん・社会学者・新雅史さん、下北沢商業者協議会代表・大木雄高さん(撮影:中山治美)

 さらに現在行われている 都市計画道路補助54号線の第1期工事および世田谷区街路10号線は2021年に完成予定ですが、第2期、第3期工事は住民訴訟の結果の「見直し」、つまり棚上げになっているに過ぎません。2期工事の場所はちょうどシモキタのシンボルとも言える小劇場 「ザ・スズナリ」を擁する「鈴なり横丁」や、シモキタのサンクチュアリ 「カトリック世田谷教会」に当たります。そもそも1946年の戦後混乱期に都市計画決定された補助54号線に、60年後の2006年、突如事業認可が下りたという経緯だけに、何が起こるかわかりません。

カトリック世田谷教会の“ルルド”のある裏庭。シモキタの喧騒から逃れるには最適な場所(撮影:中山治美)

映画のシモキタロケは今後も続々!

 最近も山崎賢人主演&行定勲監督&又吉直樹原作『劇場』(2020年公開)、今泉力哉監督『街の上で(仮)』(2019年10月12日~14日の第11回下北沢映画祭でワールドプレミア上映)もシモキタでロケが行われました。

ピース・又吉直樹の恋愛小説の映画化『劇場』に主演する山崎賢人とヒロインの松岡茉優

 街の再開発問題というのは日本各地で起こっており、どの街へ行っても金太郎飴のように同じじゃ面白くない! スクリーンを通して、文化と路地が残る街シモキタの行く末を一緒に見守っていきましょう。