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【個性的すぎる映画館】上海初の24時間映画館! “魔都”時代から最先端を行く「国泰電影院」

 『上海バンスキング』(1984/1988)、『上海グランド』(1996)、『花の影』(1996)、『ふたりの人魚』(2000)、『ラスト、コーション』(2007)……映画の中でさまざまな顔を見せてくれる大都市、上海。現在は中国経済の発展を示すショールーム的存在ですが、映画ファンにとっては外国人居留地「租界」が存在したころの“老上海” (オールド上海)も印象的ですよね。広州や天津などにも同様の「租界」はありましたが、一般での知名度では上海がリードしているかも。

 1843年に南京条約が締結された後、上海にはイギリス・アメリカ・フランスの租界がそれぞれ設けられました。それからおよそ100年のあいだ、英米租界の合併(共同租界)や日本の参入などを経て、東西がミックスされた独特の文化が形成されます。 “魔都”や“東洋のパリ”といった呼び名も、租界があった時代に作られたもの。現在の上海市内には当時の建物が意外と多く残されており、映画館もそのひとつです。そこで今回は、いまも発展を続ける「国泰電影院」(キャセイ・シアター)を訪問しました。

「国泰電影院」レトロな外見は町のシンボル(撮影:goo映画編集部)

当時の売れっ子建築家が手掛けた最新映画館

 1932年にオープンした「国泰電影院」(当時は「国泰大戯院」)。設計はハンガリー人のC. H. Gondaが率いた事務所「鴻達洋行」でした。C. H. Gondaはこの時代に活躍した有名建築家のひとりで、当時の4大デパートのひとつ、南京東路の「新新公司」(サンサン・デパート。現在は「上海市第一食品商店」)や蘇州河脇の「光陸大楼」(現在は未使用)などを代表作としています。英国商人の資本で建設された「光陸大楼」は、1928年にオープンした劇場&映画館・オフィス・アパートメントの複合ビルです。英国領事館に近かったこともあり、観客は裕福な層が多かったため、料金は周辺の劇場よりも高かったそう。

蘇州河脇の「光陸大楼」。現在は建物だけが保存されている未使用状態。蘇州河を挟んだ左の茶色い建物は1934年に建てられた「百老匯大廈」(上海大廈、ブロードウェイ・マンション)。現在はホテルとして営業中(撮影:goo映画編集部)

 「国泰電影院」の建設は1930年、国光聯合電影公司の出資で始まりました。1932年に正式営業を開始し、最初の上映はノーマ・シアラー主演『自由の魂』(1931)。フランス租界メインストリートの霞飛路(現在は淮海中路)沿い、交差する邁爾西愛路(現在は茂名南路)も高級衣料品店が並ぶ有名ストリートとあって、連日多くの観客でにぎわったそうです。

旧フランス租界観光の重要ポイントでもある(撮影:goo映画編集部)

 1954年には「国泰大戯院」から「国泰電影院」に、文化大革命時の1966年には「人民電影院」に名称を変更しますが、1979年には「国泰電影院」に戻りました。現在は市が選んだ「上海市優秀歴史建築」のひとつであり。2003年には大改修工事を終えています。ちなみに、映画館向かって右手は1928年完成の「国泰公寓」(キャセイ・マンション)。当時は近くにロシア人が集まるエリアがあったため、1階にはロシア系の百貨店や各種の商店が並んでいたそうです。

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