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「西郷どん」で大注目の滝と半島唯一の映画館へ 鹿児島・大隅半島の旅②

 九州の南方右側に位置する鹿児島県大隅半島をめぐるプチ旅行。前回は自然に覆われ、神話が多く、その一方では小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた「内之浦宇宙空間観測所」など科学技術の最先端を抱く肝属郡肝付町をご紹介したが、さらに内陸にもユニークな場所はいっぱいある。

 今回はNHK大河ドラマ「西郷どん」(2018)のオープニングや映画『キングダム』(2019)のロケ地となった「雄川の滝」、大隅半島唯一の映画館「リナシアターかのや」などをご紹介しよう。

 「はやぶさ」映画を地元民はどう見た? 鹿児島・大隅半島の旅①はこちら。

「西郷どん」『キングダム』で大注目の滝

 次の目的地は、本土最南端の南大隅町根占地区を流れる雄川の上流にある落差46メートル、幅60メートルの「雄川の滝」。昨年のNHK大河ドラマ「西郷どん」のオープニングに用いられ、そのエメラルドグリーンに映える水面の美しさで、一気に注目されることになった場所である。

「西郷どん」のオープニングや『キングダム』のロケ地「雄川の滝」(撮影:増當竜也)

 注意しなければいけないのは、この滝、上流展望所は錦江町田代地区に、滝つぼそのものは南大隅町根占地区に位置している。したがって、どちらへ行きたいかをあらかじめ決めてナビ登録する必要がある。「西郷どん」さながら滝つぼ目当ての人は、迷わず南大隅町根占地区をめざそう。また滝つぼへ至る遊歩道入り口までの道はかなり狭いので、運転には細心の注意を。

 遊歩道から滝つぼまでの道のりも意外に大変で、距離そのものは1.2キロほどだが、道幅は1.5メートル前後の狭さで、また途中のアップダウンも激しく、まるで崖を歩かされているような箇所もあるので、運動靴は必須。また遊歩道の入り口には杖の無料レンタルサービスもあるので、体力に自信のない人はためらうことなく使うことをお勧めしておきたい。

雄川の滝へ向かう遊歩道(撮影:増當竜也)

 歩きながらの脇の渓流の景色も実に美しく目の保養になり、ようやく到達した雄川の滝つぼは、これぞまさに絶景! 前日の大雨で上流の発電施設の堰が開放され、水量が多くなっていたため、エメラルドグリーンの景色にはお目にかかれなかったものの、その豪快な風情は堪能できた。

 ちなみにこの滝、現在大ヒット公開中の映画『キングダム』避暑地外観のロケ地としても使われている。南大隅町は同じく現在全国順次公開中の『きばいやんせ!私』の撮影隊が昨年長期ロケで訪れるなど、最近は映像との関わりが深い町でもある。

ビーチにアート!? あの作品も!

 「雄川の滝」を出てさらに西へ進み、鹿児島湾を見渡せる錦江町大根占地区へ出て、薩摩半島を左に見渡しながら北上していくと、 「道の駅にしきの里」付近の神川キャンプ場に「神川ビーチ 影絵の祭典」 なるユニークなオブジェが飾られている。


「神川ビーチ 影絵の祭典」(撮影:増當竜也)

 大隅半島から見ると陽は薩摩半島のほうへ沈んでいくので、午後から夕方にかけて訪れれば“薩摩富士”の異名をとる開聞岳や海そのものが赤く染まったより幻想的な影絵世界が楽しめること必至だ。

島にとって大切なミニシアター

 鹿児島湾を背に右折し、大隅半島の中心地でもある鹿屋市の 「リナシティかのや 鹿屋市市民交流センター」へ移動。この中には大隅半島唯一の映画館 「リナシアターかのや」 がある。1992年2月に鹿屋テアトル文化が閉館して以来、大隅半島から映画館そのものが姿を消してからおよそ15年の月日が過ぎ、ようやく2007年4月1日に開設された68席の本ミニシアターは、大隅の映画ファンにとってかけがえのない存在なのである。

リナシアターかのや(撮影:増當竜也)

 同センターの指定管理者 「株式会社まちづくり鹿屋」の佐藤康平さんにお話をうかがうと、リナシアターでは邦洋の別やメジャー&マイナーを問わず都市部で話題になった作品などをいちはやくキャッチしながらの上映を心掛けているが、主客層が女性ということもあってか派手なサスペンスものより、『家族はつらいよ』(2016)、『日日是好日』(2018)のようなヒューマンな作品のほうが集客しやすい傾向があるとのこと。

 毎年GWには『ドラえもん』、夏休みに『名探偵コナン』のシリーズ最新作を上映するのも定例で、ファミリー層からは鹿児島市内まで子どもたちを連れて行かなくてすむと好評。また最近は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)を都市部と同時期に公開するといった挑戦も始めている。

リナシアターの上映情報ボード。上映は1作品のみ(撮影:増當竜也)

 興味深かったのは、都市部の映画館が朝昼夜と番組を変えて上映するのに対し、こちらはあくまで1本の作品を1日数回上映という旧来のスタイルを踏襲していること。実は時間によって作品を変え、上映したこともあったが、お客さんから「何を何時に上映しているのかわかりづらくなるからやめてほしい」という声が多く寄せられたのだとか。確かに同じ映画を毎日同じ時間に上映してくれるほうが、観る側はスケジュールを組みやすい。各回定員入替制ではあるが、指定席ではなく自由席というのも往年の映画館スタイルで、個人的には好ましく思う。

老舗喫茶で洋食を!

 最後に、映画鑑賞の後で小腹がすいたら、歩いて数分のところにあるカフェレストラン「リベラ」(鹿児島県鹿屋市北田町8−1)をお勧めしておきたい。

リベラ外観(撮影:増當竜也)

 喫茶と食事が同時にできる創業51年の老舗で、当然ながらに昭和の懐かしい雰囲気も濃厚。というか、実は私自身も高校時代に何度か通ったのだが、当時(1980年代初頭)と雰囲気が全然変わっていないのにびっくり。あの頃はスパゲティばかりを注文していたが、今回メニューでさりげなくプッシュされていたハヤシライスを注文してみたら、これが大当たりなのであった。

リベラ特製ハヤシライス。かき氷の「白くま」も食べられるのだそう(撮影:増當竜也)

 大隅半島の中でも肝属郡内をざっとひと回りするのに精いっぱい。九州最南端の佐多岬などまだまだご紹介したいところがたくさん。さらに曽於郡、志布志市など大隅半島には探索してみたい地域もいっぱいあるので、ぜひ挑戦してみたい。

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