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現実なんて忘れてしまえ!非現実の楽園、ラスベガスのカジノホテルでドラマにひたる

 アメリカ・ネバダ州の砂漠に生まれた現代のオアシス、ラスベガス。カジノやショー、ショッピングと、毎日が娯楽と美食で回るド定番観光地です。あまりにベタすぎて旅の達人からは敬遠される傾向もありますが、この地に流れる非現実感は世界でも有数。なかでもいろんなところがぶっとんだカジノホテルは、数々の映画で主役級の存在感を放っています。

砂漠のど真ん中に出現した桃源郷、ラスベガス。大通りの両脇に並ぶ奇想天外なデザインのホテルは「退屈な現実など忘れよ」と強すぎる圧をかけてきます。(撮影:goo映画編集部)

ベラージオ ラスベガス Bellagio Las Vegas

 ラスベガスを舞台にした映画といえば、スティーブン・ソダーバーグ監督の『オーシャンズ11』(2001)でしょう。仮釈放中にも関わらず盗みを企てた泥棒&詐欺師のダニー・オーシャン。集めた仲間10人と挑んだターゲットは、ここ「ベラージオ ラスベガス」の巨大金庫です。あまりにも大胆すぎる計画、ダニーの真意とは? ダニーにジョージ・クルーニー、元妻テスにジュリア・ロバーツ、ダニーの右腕ラスティーにブラッド・ピットなど、豪華な顔ぶれでも話題を呼びました。

 「ベラージオ ラスベガス」の現地ロケは、集まった大スターたちに負けない前代未聞の規模。パーキングや温室植物園を数日閉鎖したほか、作品終盤でダニーの仲間たちが見つめる巨大噴水を止めたことも。ただし、カジノフロアとセキュリティルームはセットだそう。また、赤い服を着たテス(ジュリア・ロバーツ)がおりた大階段は、作品公開の2年後に撤去されています。

水が貴重なラスベガス、巨大な噴水はまさに豊かさの象徴? 水が作る瞬間的な美しさは、ダニーと仲間たちの「夢の跡」を思わせます。(写真:Ethan Miller/Getty Images for MGM Resorts International)

 作中での「ベラージオ ラスベガス」はテリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)の所有ですが、撮影契約を交わした実際のオーナーはスティーブ・ウィンです。彼はプロデューサーのジェリー・ワイントローブと仲が良く、撮影への全面協力を約束していました。撮影準備の期間中にホテルは売却されてしまいますが、新オーナーのカーク・カーコリアンもワイントローブと懇意だったため、撮影は問題なく行われたそう。現在もホテルの運営はカーコリアンの「MGM リゾーツ インターナショナル」です。

 「MGM」と聞いてピンと来た人は映画通かも。1920年代に成立したアメリカの映画会社「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー」ですね。70年代に同社を買収したカーコリアンは、ラスベガスの発展に貢献した人物としても知られています。彼が育てた60年代のラスベガスは『オーシャンズ11』のリメイク元、フランク・シナトラ主演『オーシャンと十一人の仲間』(1960)で確認できるでしょう。レトロなアメリカン・テイストにはクルーニー版とまた違った魅力があります。

 『オーシャンズ11』の続編は『オーシャンズ12』(2004)と『オーシャンズ13』(2007)。そして2018年には、オール女性キャストによる『オーシャンズ8』(2018年8月10日公開)が登場です。『ハンガー・ゲーム』(2012)のゲイリー・ロス監督がメガホンを取った本作、主人公はなんとダニー・オーシャンの妹デビー(サンドラ・ブロック)。 ニューヨークを舞台に繰り広げられる「女性版オーシャンズ」、こちらも楽しみですね。

ベラージオ ラスベガス Bellagio Las Vegas WEB
住所 3600 S Las Vegas Blvd, Las Vegas, NV 89109

アリア リゾート アンド カジノ ラスベガス ARIA Resort and Casino Las Vegas

 マット・デイモンの当たり役といえば「記憶を失った元CIAの殺し屋」ジェイソン・ボーン。『ボーン・アイデンティティー』(2002)から始まったボーンシリーズは、ジェイソンとCIAの戦いがテーマです(※4作目『ボーン・レガシー』のみ主人公が異なります)。ラスベガスが登場する作品は、5作目の『ジェイソン・ボーン』(2016)。アクションに定評あるシリーズだけに、ラスベガスの姿もちょっとクールに見えるかも。ジェイソンやCIA長官のロバート・デューイ(トミー・リー・ジョーンズ)らが続々と到着するマッカラン国際空港も、どこか殺伐としています。

 彼らが集合するホテルは「アリア リゾート アンド カジノ ラスベガス」です。ラスベガスのカジノホテルでは珍しいシックなデザインは、シーザー・ペリ率いるペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツによるもの。自由の女神やローマの神殿があるホテルでは、アクションの緊迫感が出にくいのかもしれません。

看板アップから全景へとわかりやすいカットで登場する「アリア リゾート アンド カジノ ラスベガス」。作中では企業イベントの会場でもありますが、実際もコンベンションホール+ホテル+カジノのIRビジネススタイルです。(写真:ARIA Resort and Casino Las Vegas)

 ホテル内の撮影場所はかなりの数で、ヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)のチェックインや登場人物たちが滞在する部屋、アセット(ヴァンサン・カッセル)が駆け抜けてパニックになる公共エリアなどなど。また、ホテルの外では随一の大通り「ラスベガス・ストリップ」でカーチェイスが繰り広げられます。「暴走車から見る夜のラスベガス」カットはもちろん本作が初。撮影には約200台の車両を用意し、地元警察などの支援を受けラスベガス・ストリップを全面封鎖したそうです。

 カーチェイスの終盤で車が突っ込んだカジノホテルは、ラスベガスの創成期を象徴する「リヴィエラ ホテル アンド カジノ」。『007 ダイヤモンドは永遠に』(1971)にも登場した老舗ですが、撮影時はすでに閉業していました。そして撮影直後の2016年6月には爆破解体されています。ヒット作に最後の出演→爆破という流れは、ちょっとドラマティックですね。

アリア リゾート アンド カジノ ラスベガス ARIA Resort and Casino Las Vegas WEB
住所 3730 S Las Vegas Blvd, Las Vegas, NV 89158

シーザーズ パレス ラスベガス Caesars Palace Las Vegas

 ラスベガスの現実離れしたムードを知りたいなら『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(2009)が最適。結婚を控えたダグ・ビリングス(ジャスティン・バーサ)と友人2名&婚約者の弟。独身最後の夜を楽しむバチェラーパーティに出かけた先が「シーザーズ パレス ラスベガス」です。

ローマ皇帝の気分にひたれるリッチな宮殿はこちら。フロントではアラン・ガーナー(ザック・ガリフィアナキス)風に「シーザーが住んでたのか」と聞いてみましょう。(写真:Caesars Palace Las Vegas)

 さんざん羽目を外しまくったあと、目覚めた4人がトラ&ニワトリ&赤ちゃんを見て呆然とするのは12階のスイートルーム。ただし、残念ながらあの部屋は実在しません。代わりの目玉は『レインマン』(1988)に登場する「Forum Tower Duplex Suite」。旅に出たレイモンド(ダスティン・ホフマン)とチャーリー(トム・クルーズ)がダンスを練習するペントハウスは現在も宿泊可能。ファンのあいだでは「レインマンスイート」と呼ばれているそう。

 シリーズ1作目当時は「よく撮影許可出したな!」とホテルのイメージを心配しましたが、とんだ取り越し苦労でした。続く『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える』(2011年)ではタイのバンコクに舞台を移しましたが、性懲りもなく制作された3作目『ハングオーバー!!!最後の反省会』ではドラッグパーティ会場というハード設定で華々しく再登場。シーツで外壁を下るシーンでは、ホテル名の電飾サインもばっちり。ただし、スタジオ内に作成された巨大セットです。

 「普段ではありえないこと」が起こる場所、ラスベガス。カジノで一攫千金なら大歓迎だけど、その逆も? 「アメリカ人が抱くラスベガスのイメージ」をうまく調理したハングオーバー!シリーズ。「あんたらなんでこんなことになるの?」と思ったなら、現地の雰囲気を確認してみては。「現実を忘れよ!」と迫る圧、迫り来る巨大オブジェと豪華ネオン、開放的な観光客…どんなに斜め上すぎるストーリーでもなぜかハマる懐の深さこそ、全米、いや世界ナンバーワン観光地の実力なのです。

シーザーズ パレス ラスベガス Caesars Palace Las Vegas WEB
住所 3570 Las Vegas Boulevard South, Las Vegas, NV 89109

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