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キューバの映画ポスターを超レア土産に! 映画ロケ地でめぐるキューバ・ハバナ④

 ハリウッド映画などに“舞台”として登場するキューバは、映画ファンにとって意外と馴染みがある国。では、キューバから発信されるキューバ映画はどうでしょう。前回に続いてベダード地区の“映画館通り”こと「23通り」から、キューバ映画の過去と現在に触れてみましょう。

キューバ映画を彩る芸術的ポスター

 「23通り」の一般的な観光なら、海に近い数ブロックの散策で十分。ですが、映画ファンならさらに南西へ向かいましょう。「シネ・ヤラ」がある交差点から2キロほど進むと、左手に「キューバ映画芸術産業協会」(ICAIC)の建物が現れます。ご存知の通りキューバは社会主義国。映画産業をオーガナイズするICAICは、1959年の革命直後に設立された政府機関です。国内唯一の製作会社でもあり、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999)などにもクレジットされています。アニメーションスタジオも所有するほか、映画館運営や映画人の育成なども範疇だそうです。

外から中が見えにくいため、見逃しにご注意(撮影:goo映画編集部)

 入り口のおじさんに指差しで「中を見たい」と伝えれば、快くOKしてくれます。さて、中にはいったいなにが?

世界から高い評価を受けているキューバの現代美術。彼らの実力と名作のパワーがポスターで融合(撮影:goo映画編集部)

 ギャラリー風の空間は、キューバ国内で公開された映画のポスターでいっぱい。国内製作作品はもちろん、海外作品も意外と多いようです。ですが、ポスターはすべて手作業のシルクスリーン印刷、制作者はキューバの有名アーティストたち。彼らが映画のイメージを表現したポスターはそれ自体が作品のため、国外にもコレクターが存在するそうです。たしかにこれは魅力的。そこで入り口のおじさんに訊くと「ポスターは向かいのショップで買えるよ」との返事が。日本では入手困難すぎるレアもの土産、これはゲットするしかありません!

ポスターを吟味する至福のひととき

 というわけで、道路を渡ってお向かいへ。「この看板の写真に見覚えが」と思ったなら、さすが映画ファン。実はこのお店、『苺とチョコレート』(1993)のコンセプトカフェなんです。公式にはキューバ・メキシコ・スペインの合作映画ですが、作品の中身は原作のセネル・パス、監督のトマス・グティエレス・アレアとフアン・カルロス・タビオ、主演のホルヘ・ペルゴリアとウラジミール・クルスなどなど、ほぼ“オール・キューバ”のキューバ映画です。

 このため、米アカデミー賞外国語映画賞ノミネートや第44回ベルリン国際映画祭審査員特別賞などの受賞は、まさにキューバ映画界の快挙。こんなカフェができてしまうほどの出来事だったわけですね。ちなみに、タビオ監督をはじめとするスタッフ&キャストは、日本公開もされた『バスを待ちながら』(2000)で再集結。こちらも、心に残る群像劇として高評価を受けました。

この看板にピンときたなら映画ファンの鑑!(撮影:goo映画編集部)

 中に入ると場面写真がお出迎え。80年代のハバナ、主義主張を超えて友情を築くディエゴとダビドの姿が刻まれています。ちなみに、ディエゴの自宅として撮影された部屋は現在、高級レストランとして営業されているそう。

コンセプトカフェの王道を行く内装。それだけに訪問前は観賞必須(撮影:goo映画編集部)

 カフェで休憩しつつ作品を思い返していると、本来の目的をうっかり忘れそうになりました。あれ、ポスターはどこ? すると気づいたスタッフ男性が「もしかして、この奥のショップ探してる?」と、カフェ脇の扉を指差します。

この位置でもシルクスクリーン用インクの香りが確認できる(撮影:goo映画編集部)

 扉を抜けた先には、画材店のようなショップが。シルクスクリーン用インクの香りが漂う店内、中のカウンタには例のポスターが山積みです。スタッフ女性に訊くと、ポスターはすべて手作りのため基本的には売切れ御免だそう。中にはナンバー入りの限定モノもあるとか。「日本映画ならクロサワのポスターが人気ね。複数の作品でポスターが作られているわ。ヨーロッパだとキューブリックが多いかも」。

欲しい作品を告げるとサクサク探してくれるお姉さん。笑顔がチャーミング(撮影:goo映画編集部)

 なんと、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』シリーズもキューバ公開版ポスターが存在。ただし、残念ながら完売でした。気になるお値段は、通常のもので大サイズが10cuc、小サイズが5cuc。スタッフ女性いわく「ホテルのスーベニアショップや映画館の売店にも少しあるけど、種類の多さはここが一番」だそう。購入品はポスター用の箱に入れてくれるため、持ち帰りも安心です。

映画館見学はまだまだ続く!

 ところでお姉さん、最近のキューバ映画はどうですか? 「悪くないと思う。いま上映してる『INOCENCIA』はオススメ。19世紀の医学生の話なんだけど、とにかく泣けるから!」。ほほう、なるほど。では、とふたたび道を渡って映画館「シネ・チャールズ・チャップリン」(Cine Charles Chaplin)へ。実はフィデル・カストロ氏の好きな俳優がチャップリンだったそうです。

映画祭会場にも使用される「シネ・チャールズ・チャップリン」(撮影:goo映画編集部)

 劇場前に貼られた『INOCENCIA』の場面写真が映画ファンの郷愁を誘います。昔はどこの映画館もこのスタイルでしたよね。

世の中は令和でも、この風景には濃厚な昭和を感じる(撮影:goo映画編集部)

 チケット窓口に貼られたあらすじ紹介によると、『INOCENCIA』の舞台は1871年のスペイン統治時代。8人の医学生が無実の罪で処刑された実話の映画化でした。場面写真からも本格的な歴史物のムードが漂います。ぜひ観賞したいところですが、どの映画館も1スクリーン&1日に複数の作品を上映するスタイル。この日は時間が合わず、代わりに館内見学へ。

左/売店には映画DVDや書籍、例のポスターも 右/重厚な扉にもどこか懐かしさを感じる(撮影:goo映画編集部)

 最後はまた少し南西へ歩き「23通り」で最後の映画館「シネ 23 y 12」へ。「23と12」という名称のまま、「23通り」と「12通り」の交差点近くにあります。意外とフォトジェニックな建物です。上映時間外のため外から覗いていると、中で休憩していたスタッフ女性たちが「中に入って見てもいいわよ」手招きしてくれました。

鮮やかな赤が印象的な「シネ 23 y 12」。内部では映画ポスターを展示している(撮影:goo映画編集部)

 どこもかしこもフレンドリーな“映画館通り”の散策はこれにてクランクアップ! ほかにも通りには地元民用スーパーマーケットやバー、飲食店などが並び、観光ムードたっぷりの旧市街とはひと味もふた味も違います。時間に余裕をもってのんびり歩けば、ハバナの日常に触れることができますよ。

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