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【映画祭で食べよう】隔離された島の極上レストランへ ベネチア国際映画祭で伝統料理②

 年間4~5回海外映画祭に参加する筆者。どの映画祭に参加するか? 決め手となるのは美味しい食事。酒と料理が不味い地域の映画祭には、できるだけ行かないことにしている。

トルチェッロ島の老舗「ロカンダ・チプリアーニ」

 さて、気忙しい映画祭が終了したら、自分のご褒美にと訪れる、とっておきの場所を紹介しましょう。リド島から船に乗ること約90分のトルチェッロ島にあるホテル&レストラン 「ロカンダ・チプリアーニ」(Locanda Cipriani)です。

「ロカンダ・チプリアーニ」のテラスから庭園の風景。食事の味も10割増し(撮影:中山治美)

 6部屋しかない宿泊施設は、文豪アーネスト・ヘミングウェイやダイアナ元妃も宿泊したことで知られていますが、緑あふれる庭園を眺めることができるレストランが、まさに別世界に来たかのような居心地の良さ。

テラス席。ぜひこちらを予約したい(撮影:中山治美)

良い店はサービスも一流で、心地よい時間を味あわせてくれる(撮影:中山治美)

 こちらも料理は、伝統的なベネチア料理が基本です。茹でたグランセオラ(クモガニ)にイカの墨煮、魚介のフリット・ミスト。食後はデザートワインとクッキーをセットで。これも合うんです。

左/ベネチアに来たら、これも食べなきゃ! 茹でたグランセオラ(クモガニ)に、オリーブオイルと塩コショウをかけてシンプルにいただく 右/イカの墨煮。付け合わせのポレンタはトウモロコシの粉を塩と水で練ったもの(撮影:中山治美)

魚介のフリット・ミスト(撮影:中山治美)

食後にデザートワインとクッキー(撮影:中山治美)

 でもここには、とっておきのお酒があるのです。それが、ピューレした白桃とプロセッコを合わせたベリーニ。ベリーニと言えば、ウディ・アレン監督も常連と言われるベネチア本島にある 「ハリーズ・バー」(Harry’s Bar)が考案したカクテルですが、創業者は同じジョゼッぺ・チプリアーニという、いわば系列店。なので同じ味が楽しめるのです。

ベネチア本島の「ハリーズ・バー」。趣が違います(撮影:中山治美)

 半ズボンを履いている男性は容赦なくお引き取り願う、という格式高い大人の社交場である「ハリーズ・バー」は入りづらいという人も、「ロカンダ・チプリアーニ」なら、気軽に予約できるのではないでしょうか。まっ、ベネチア本島から距離があるので、時間に余裕のある人に限られますが。でも、時間をかけて訪れる価値はあります。

 ちなみに「ロカンダ・チプリアーニ」では、ベネチア国際映画祭の審査員たちが審査会議を開いていたこともあったそうです。授賞式まで結果厳守を貫くには、リド島から隔離され、サンタ・フォスカ教会とこのレストランぐらいしかないこの島が最適だったのでしょう。そこでどんな議論が交わされたのか……。積み重ねた歴史と数々の逸話を持っているのもまた、このレストランの魅力です。

サンタ・フォスカ教会から「ロカンダ・チプリアーニ」を眺めた風景。白いテントがちょうどレストランの庭園。ベネチアの人にとっても憧れで、ここで結婚式の披露宴を行う人も多い(撮影:中山治美)

ベネチア国際映画祭 Mostra Internazionale d’Arte Cinematografica WEB
1932年に創設された世界最古の映画祭で、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大映画祭の一つ。よく部門や賞の名称が変わるので、リスト化や比較がしにくく、記者泣かせ。トロフィーは、ベネチアの守護聖獣である羽の生えたライオン。最高賞の名称は、金獅子賞。日本映画では、黒澤明監督『羅生門』(1950)、稲垣浩監督『無法松の一生』(1958)、北野武監督『HANA-BI』(1997)が金獅子賞を、2005年には宮崎駿監督が栄誉金獅子賞を受賞している。チケットを購入すれば一般の観客も鑑賞できる。