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【映画祭で食べよう】大阪アジアン映画祭の海外ゲストを魅了した大阪グルメ

 アジア映画に造詣が深い映画評論家・暉峻創三プログラミング・ディレクターの目利きが光る大阪アジアン映画祭。3月8日〜17日に開催された第14回は、昨年より上映本数が2本減だったにも関わらず、約500人増の約9500人の動員を記録。コンペティション部門のグランプリには、ポン・ジュノ監督らを輩出した名門・韓国国立映画アカデミー出身のイ・オクソプ監督の長編デビュー作『なまず』(2018)が輝くなど、アジア映画界の新たな時代を担う新鋭たちの活躍が目立ちました。

上/表彰式の模様(提供:大阪アジアン映画祭) 下/グランプリを受賞した韓国映画『なまず』のワンシーン

 さらに今年は、アジア映画界に多大な貢献をし、今後もさらなる活躍が期待される映画人に贈られる「オーサカ Asia スター☆アワード」に、台湾映画『先に愛した人』(2018:Netflixで配信中)でアイドルから演技派俳優へと転身したロイ・チウへ。ほか、オープニング作品『嵐電』(5月24日公開)の主演俳優・井浦新、『金子文子と朴烈』(2017)が好評の韓国女優チェ・ヒソが新作『アワ・ボディ』(2018)を引っさげて来阪しました。

オーサカ Asia スター☆アワードを受賞したロイ・チウ(撮影:中山治美)

 そりゃ、ゲストも喜んで参加しますよ。だって大阪は食いだおれの街でっせ。今年はラーメンガイドブックを持参して、食べる気満々でやって来たゲストもいたとか。というわけで数々のゲストを魅了した、大阪の味を紹介します。

フルーツ・チャン監督らも来店!アツアツのねぎ焼

 まずはメイン会場ABCホールのある大阪・福島近辺から。大阪に来たら粉もんは外せない! ということで、ABCホールと同じ“ほたるまち”にある 「ねぎ焼やまもと」。大阪・十三の本店は行列もできますが、ここは繁華街とも離れているので穴場でもあります。一応説明しますと、ねぎ焼とはねぎたっぷりのお好み焼きで、この「ねぎ焼やまもと」が元祖と言われています。

ねぎ焼きといえばやまもと! 福島ほたるまち店(撮影:中山治美)

 オーダーすると、熟練スタッフが目の前の鉄板で、手際良く焼いてくれます。ジュージューという音と香ばしい醤油タレが店内中に充満しており食欲をそそる、そそる。そして出来上がったアツアツのねぎ焼を、ハフハフ言いながら食べると大阪に来たーッと実感します。

こちらはいか・えび・帆立貝が入った海鮮デラックスねぎ(撮影:中山治美)

 この目の前で繰り広げられるライブ・パフォーマンスと味に魅了され、昨年、「オーサカ Asia スター☆アワード」を受賞した香港の監督・俳優のチャップマン・トーは2日続けてご来店。ほか、体型からして見るからに食いしん坊の『メイド・イン・ホンコン/香港製造[デジタル・リマスター版]』(1997、第13回特集企画で上映)のフルーツ・チャン監督など、多くのゲストが訪れているようです。11時30分〜22時までノンストップ営業というのも、上映の合間の中途半端な時間に食事ができるので、映画祭参加者にとっても心強い存在です。

ねぎ焼やまもと 福島ほたるまち店 WEB
住所 大阪市福島区福島1-1-51 堂島クロスウォーク
電話(06)4798-8220

大阪の遺産?名物マスターの純喫茶

 「レトロな喫茶店に行きたい」と、映画祭スタッフにお願いしたのは「オーサカ Asia スター☆アワード」第1回受賞者の台湾俳優ジョセフ・チャン。そこでスタッフがお連れしたのが、1947年創業の、知る人ぞ知る「マヅラ喫茶店」。ABCホールから徒歩15分とちょっと離れていますが、宇宙船をイメージしたキラキラした店内とミッドセンチュリーな椅子やテーブルが不思議と調和し、この空間を味わうだけでも、下手な有料観光施設より断然おもろい。昨年開催された 「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」にも選ばれた、大阪の遺産とも言える純喫茶です。

ウイスキー「ジョニー・ウォーカー」でおなじみの英国紳士がお出迎え、昭和レトロなマヅラ喫茶店(撮影:中山治美)

 近隣のビジネスマンの懐にも優しい、コーヒー1杯250円というのが嬉しくて泣けて来ます。何よりジョセフをいたく感激させたのが名物マスター、劉盛森(りゅう・せいしん)さんの存在です。

 劉さんは1920年生まれで、台湾出身。終戦後に大阪へやってきて、最初は闇市の小さな店舗からスタートさせたそうです。商売こそ異なりますが、リアル『焼肉ドラゴン』(2018)のような方です。残念ながら筆者が訪問した時は不在でしたが、100歳近い今も店舗に立ち続けているとか。ジョセフはマヅラ喫茶店体験が強烈に印象に残ったようで、トークイベントでも嬉しそうに語っていました。

ガラス張りでキラキラした内装であるにも関わらず、なぜか落ち着く喫茶店マヅラ(撮影:中山治美)

 ちなみに、お店があるのは大阪駅前第1ビル地下。同第2、第3ビルが連なるこの一帯は、観光客を間違いなく惑わす大阪キタの地下迷宮と呼ばれています。小さな店舗が連なる雑多な感じはアジア人を惹きつけるようで、第9回で国際審査員を務めた台湾のトム・リン監督は、第3ビル地下にある手打ち讃岐うどんの店 「うどん棒」で、審査疲れを胃から癒したそうです。

マヅラ喫茶店 WEB
住所 大阪市北区梅田1-3-1 大阪駅前第一ビル地下1階
電話(06)6345-3400

『聖の青春』登場の将棋会館に謎の行列

 それにしても、大阪・福島も変わりました。この辺りはほんの数年前は、大阪の人だって滅多に来ない、何もない地味ぃ〜な街でした。それが1997年にJR東西線新福島駅が開設され、2008年にはABC朝日放送が北区大淀から、再開発が進む堂島川沿いの福島に移転。2013年にスタートした大阪環状線改造プロジェクトの一環で福島駅周辺も整備されると、続々と飲食店がオープン。

夜遅い時間なのにこの繁盛(撮影:中山治美)

 今年は、映画祭でメインとなる会場がABCホールと新梅田シティにあるシネ・リーブル梅田だったため、2つの劇場を徒歩移動すると、街のあちこちで行列に遭遇しました。紀州鴨を使ったスープが評判の 「燃えよ麺助」に、焼きたてパンの店 「パーネ・ポルチーニ」、おでんの 「花くじら」など。せっかちな大阪人に「待ってでも食べたい」と思わせるのだから、相当なもんです。

 JR福島駅北側、関西将棋会館の1階にある 「レストラン イレブン」もその一つ。

ランチ時は近隣の会社員たちが列を作る関西将棋会館1Fのレストラン イレブン(撮影:中山治美)

 関西将棋会館といえば、映画『聖の青春』(2016)の主人公・村山聖九段や、藤井聡太七段が通った場所じゃないですか。イレブンは、藤井七段が同会館での対局の際に勝負メシを度々オーダーするレストランとしても有名。ゲンを担いでここで食べて、午後からの仕事も頑張るぞ! というお父さんたちも多いのでしょう。

 ただ映画上映の合間の食事となると、並でいる時間がなくあえなく断念。かろうじてセルフサービスのうどん店 「讃く」(さんく)のランチタイムに入店しました。これが香味麦芽を使ったコシのあるモチモチのうどんで、大当たり!!

左/この立派な店構えで、券売機でセルフサービススタイルというのも乙。うどん讃く 右/香味麦芽のツヤツヤうどんを見よ! すだち醤油うどん。小玉で350円とコストパフォーマンスも最高(撮影:中山治美)

 すだちをキュッと絞って醤油をぶっかけて頂きましたよ。あぁ、それにしても気になる店が多すぎて全然消化できず。来年も参加して、リベンジせねば!

うどん 讃く WEB
住所 大阪市福島区福島2-8-3
電話 (06)6451-4115

シメはクイーンのメンバーも立ち寄った有名店

 そして帰京する際は、大阪駅近くの新梅田食堂街にある関東煮の名店 「たこ梅」の北店に寄って、好物のたこの甘露煮と、ゆばの関東煮を味わい映画祭打ち上げは完了。

左/開発が進む大阪駅周辺で取り残されたように小さな店舗が並ぶ新梅田食堂街に「たこ梅」北店がある。本店は道頓堀に 右/3月に訪れた時の旬のメニュー。菜の花もおでんに(撮影:中山治美)

 在阪の音楽関係者によると実はここ、映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)効果で再ブレイク中のクイーンのメンバーもその昔、大阪公演の際に立ち寄ったそうですよ。カウンターだけの店なので、居合わせた人はビックリしたでしょうね。そんな思わぬ出会いを期待して、来年3月は大阪へGO!

たこ梅 北店 WEB
住所 大阪市北区角田町9-26 新梅田食道街1F
電話 (06)6311-5095
大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival WEB
毎年3月に開催されるアジアのエンタテインメントな映画を集めた映画祭。2005年に「韓国エンタテイメント映画祭2005 in大阪」が開催され、翌年「大阪アジアン映画祭」に名称が変更。第4回より映画評論家・暉峻創三がプログラミング・ディレクターを務め、「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマにより質の高いアジア映画を選定し、上映している。また、アジア諸国の映画人を迎えたシンポジウムを開催するなど多彩な事業へも取り組んでいる


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