ツイート シェア

【日本の映画祭】ちば映画祭で『カメ止め』に続くインディーズ映画を目撃せよ!

 2019年、2年ぶりの開催で記念すべき第10回を迎える「ちば映画祭」(3月30・31日、29日は前夜祭)。「ただいま〜地味目な地方都市より、若手映画監督へ愛をこめて〜」をキャッチフレーズに、さらなる活躍が期待される若手監督を紹介する。『カメラを止めるな!』(2018)の大ヒットで注目を集めるインディーズ映画界、続く若手監督の作品を目撃せよ!

テーマ曲とちば日菜津がお出迎え!集う新鋭監督作

 これまで、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、湯布院映画祭、さぬき映画祭、なら国際映画祭を紹介してきたが、我が地元の映画祭を紹介していなかった! ということで、今回は「ちば映画祭」を紹介したい! 第8回の2016年から会場を 「千葉市生涯学習センター」(JR千葉駅から徒歩約8分、千葉モノレール「千葉公園駅」から徒歩約5分)に移し、千葉市民芸術祭の協賛事業として開催される映画祭だ。

会場の千葉市生涯学習センター。外観は地味でも映画祭は熱い!(撮影:平辻哲也)

 テーマ曲「ちば映画祭のテーマ〜初期衝動〜」は1度聴いたら耳から離れない。「ちばちば映画祭 ピーナッツ県からお届けします」とのサビが印象的なポップチューンは、スタッフのユキミさんが作詞・作曲と歌を担当した。毎回制作される映画祭のCM映像は、『みんな蒸してやる』(2015)がPFFアワード2015に入選した新鋭・大河原恵監督(第9回の特集監督)によるもの。

 女優の福永朱梨(第10回映画祭にて主演作『彼女はひとり』ほか上映)、俳優の木村知貴を始め、映画祭キャラクターのちば日菜津などが出演し、映画祭の楽しさを伝えている。

ちば映画祭オリジナルキャラクター、ちば日菜津。真利子哲也監督『あすなろ参上!』(2013)に出演後、ちば映画祭へ移籍(提供:ちば映画祭)

 今年は上海国際映画祭「Asian New Talent Award」部門で脚本賞、撮影賞を受賞した、まつむらしんご監督のラブコメ『恋とさよならとハワイ』(2017)、SKIPシティ国際Dシネマ2018国際コンペティション・SKIPシティアワードを受賞した中川奈月監督の『彼女はひとり』(2018)、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品され、上海国際映画祭「Asian New Talent Award」部門最優秀アジア新人監督賞を受賞した『わたしたちの家』(2017)を始めとする清原惟(ゆい)監督の特集上映などをラインナップ。各プログラムにはゲストも登壇し、監督や出演者と語らうこともできる。

上/まつむらしんご監督『恋とさよならとハワイ』(C)2017Ippo 中/中川奈月監督『彼女はひとり』(C)彼女はひとり 下/清原惟監督『わたしたちの家』

ちば映画祭に込められた“想い”とは?

 「知らない監督の名前ばかりだ」という人もいるだろうが、それもそのはず。監督たちはこれから花を開こうとする新鋭だから。逆に言うと、将来ブレイク必至の“金の卵”たちを目撃できるというわけだ。上映作品は公募ではなく、PFFアワードやSKIPシティ国際Dシネマ映画祭などの映画祭や上映会に出向き、気に入った作品の監督と個別に出品交渉するという、地道で労力のかかるやり方を続けている。

 これまでの上映された作品の監督を振り返ると、『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)や『長いお別れ』(5月31日公開)の中野量太監督、『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)の真利子哲也監督、『溺れるナイフ』(2016)や『21世紀の女の子』(2019)の山戸結希監督、『チワワちゃん』(2019)の二宮健監督、『ピンカートンに会いにいく』(2018)の坂下雄一郎監督、『真っ赤な星』(2018)の井樫彩監督、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018)の冨永昌敬監督、東京国際映画祭2017・日本映画スプラッシュ部門選出『ひかりの歌』(2019)の杉田協士監督といった面々。作品が一般劇場公開された監督も数知れない。

2017年の第9回の模様(提供:ちば映画祭)

 今回、映画祭の3月30日(土)と31日(日)のプログラムを担当した鶴岡明史さんは「インディーズ映画をもっと広く知って欲しい、映画祭に来てくださった皆さんが楽しんでいただき、幸せになってくれたら嬉しいと思って開催しています。監督や俳優の方々がブレイクしてくれたら嬉しいですが、皆さんが幸せで納得出来た人生を送ってくださり、人生の思い出として、ちば映画祭を思い出してくれたら嬉しいです」と話す。

会場の「生涯学習センター」は千葉駅から徒歩8分(撮影:平辻哲也)

 ちば映画祭は2008年11月、千葉在住の有志数人が「自分たちが制作した映画を千葉市で上映したい。せっかくだから広く作品を上映しよう」と第1回を開催。主催の「ちば映画祭実行委員会」のメンバーは入れ替わりながらも継続し、3代目の代表は千葉県出身の脚本家、鳥海雄介氏だ。

 十数人からなるスタッフは本業を持ちながら、手弁当で運営。「専従スタッフがいるわけではないので、人手も時間も足りません。運営は入場料、芸術文化振興基金の助成金、チラシの広告料で賄っていますが、毎回赤字です」と鶴岡さんは明かす。それでも続けているのは、一重に映画愛があるからだ。そんなまっすぐな姿勢には、数多くの映画人がエールを送っている。

意外と知らない?ロケ地にもなった千葉の見どころ

 ちば映画祭に来たら、周辺のお出かけスポットにも足を伸ばしてもらいたい。JR千葉駅はJR東京駅から総武快速線で39分、人口約97万人の政令指定都市。海も緑もあるので、春のお出かけにはピッタリだ。

 「千葉市美術館」(千葉駅から徒歩15分)は千葉ゆかりの作家だけでなく、江戸絵画や現代アートなど展示がある。2019年3月31日までは「房総ゆかりの作家たち」を開催中。また、「旧川崎銀行千葉支店」(1927年竣工)を包み込ようにして復元保存した「さや堂ホール」(1階)は一見の価値あり。8つの大きな柱が建ち並ぶネオ・ルネッサンス様式が特徴で、美術館の展示のほか、コンサートホール、映画やドラマのロケにも使われている。

左/旧川崎銀行千葉支店を包み込むように新たなビルを建てた千葉市美術館 右/ネオ・ルネッサンス様式のさや堂ホール(撮影:平辻哲也)

 会場からすぐの 「千葉公園」は旧鉄道連隊の演習地で、今はボート遊びも楽しめる憩いの場。池越しにモノレールが走る姿は千葉市をメイン舞台にしたアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(2010)にも登場した。お花見スポットとしても有名で、映画祭中はちょうど見頃を迎えそう。

桜も見頃な千葉公園(撮影:平辻哲也)

 世界一のモノレール 「千葉都市モノレール」も体験してほしい。懸垂型モノレールとして営業距離世界最長(15.2km)のギネス認定を受けた。運良く新型「アーバンフライヤー」に乗ることができれば、ガラス張りの床から眼下の景色を楽しむ“空中散歩”が味わえる。

アーバンフライヤーの床の一部はガラス張り(撮影:平辻哲也)

 動物好きなら、千城台方面へ約9分乗って「動物公園駅」で下車。目の前が 「千葉市動物園」だ。立ち姿が人気になったレッサーパンダの風太くんは2018年7月、満15歳に。今やひ孫までいる風太くん一家と会える。

風太くん(提供:千葉市動物公園)

 一方、海が見たくなったら、約9分乗って「千葉みなと駅」へ。駅から約12分歩くと、高さ125mの 「千葉ポートタワー」だ。展望台からは東京湾を一望でき、天気が良ければ、富士山や筑波山を見ることも。夕方になれば、真っ赤に染まる富士山、さらに暗くなれば、目の前に工場夜景が広がる。地味目な地方都市かもしれないけど、案外見どころがある千葉。映画祭を機にぜひご訪問を!

千葉ポートタワー(撮影:平辻哲也)

ちば映画祭 WEB
「ちば映画祭」の開催を目的に結成された団体により、2008年にスタート。千葉県初上映の若手監督作品を中心に上映し、監督たちとの交流によって、より広く深く映画文化に触れる機会を提供。地元・千葉を盛り上げるイベントとしての成長も目指している。

関連記事