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【映画祭で食べよう】ハムと西洋わさび、ビール:ウーディネ・ファーイースト映画祭② イタリア

 毎年4月末に開催される「ウーディネ・ファーイースト映画祭」。東アジア・東南アジアの作品をメインとした特集上映などで、日本でも知名度がアップしています。また、映画人の胃袋を掴んだ地元の味も、街の大きな魅力です。今回は街の歴史が色濃く反映された名物料理を中心にご紹介します。

 前編「生ハムとグラッパ、ワイン」はこちら

大林監督も参加したパレードを歩いてみよう!

 イタリアで4月25日は、ナチス・ドイツの占領下から解放されたことを記念した解放記念日。ウーディネでも毎年、盛大なパレードと記念式典が行われます。2019年は映画祭の期間とズレましたが、改めてこの町が辿ってきた運命を考えさせられるひと時でもあります。

イタリアでも屈指の美しい広場と言われる、リベルタ広場(撮影:中山治美)

 ほとんどの海外ゲストはパレードにあまり関心がないようですが、2016年に参加した大林宣彦監督とタナダユキ監督は揃って見学していました。大林監督なんていてもたってもいられない様子で、同年代の地元女性を見つけるや、肩を組んで一緒にパレードに参加する一幕も。

2016年に参加した大林宣彦監督は、毎年4月25日に行われる解放記念日のパレードを見守り、途中、列に参加して地元のおばあさんと平和な世を噛み締めながら肩を組んで歩いた(撮影:中山治美)

 大林監督曰く、平和を思う気持ちに言葉はいらないそうで「ハートとハートで会話しました」とのこと。流石です。

国境の町ならではの食文化とビールとハム!

 この町が、イタリアであって他とはちょっと違うことを実感させてくれるのも“食”。名物料理は、冬の寒さが厳しく食物が育ちにくい環境であることを象徴する、ジャガイモとチーズを混ぜたフリコ(おやき)と、トウモロコシ粉を練ったポレンタ。さらにクレン(西洋ワサビ)をすり下ろして食べるハム。そしてモレッティが象徴するビール文化の発達です。

 ウーディネはかつてベネチア共和国の統治下にありましたが、第一次大戦中はオーストリア軍、第二次大戦後はドイツ軍の占領下と、国境に近い町の宿命として歴史の波をモロに受けてきました。その遍歴が食文化にも表れているのですね。せっかくなので、町の歴史と今を食で体感しましょう。

左/名物料理のフリコとポレンタ。低価格でお腹を満たす最強メニュー 右/クレン(西洋ワサビ)は瓶詰めで販売されているほどポピュラー(撮影:中山治美)

 フリコやポレンタなどの家庭料理なら、旧市街の 「オステリア・アッラ・ギアッチャイア」「トラットリア・アル・フラティ」へ。他の地方にはないメニューがちょこちょこっとあるんです。

地元の人オススメの老舗「トラットリア・アル・フラティ」。運河が望める2階のテラス席が最高!(撮影:中山治美)

 「トラットリア・アル・フラティ」では、ウーディネが海の面した町ではないのにタコを煮込んだトマトソースのパスタも。なぜこれらのメニューがあるのかは、まだ調査が進んでいませんが、なかなかクセになる味。何より両店とも運河沿いにあり、ロケーションが素晴らしい。イタリアと言えば、すぐにピザにパスタとなりがちですが、地方によって全然食文化が異なるのでそれを探求しなきゃ損損ですよ。

「オステリア・アッラ・ギアッチャイア」にはフリウリ地方の名物シナモンやリコッタチーズを使った甘いパスタのチャルソンス(左)やハムステーキ(右)が(撮影:中山治美)

 そしてビール。「モレッティ」は1996年にオランダの「ハイネケン・インターナショナル」に買収されましたが、イタリア最大級を誇る醸造所 「ビレ」があります。醸造所に併設されたビアハウスでは、ビールに合うシュニッツェルやソーセージ料理が楽しめます。店内には大スクリーンがあって、「ウディネーゼ・カルチョ」戦の時にはサポーターが集結するので、本場セリエAの熱狂をも楽しめちゃう。試合スケジュールを確認して行くべしです。

イタリア最大のビール醸造所「ビレ」のビアハウス。試合の日はウーディネーゼが集結して盛り上がる(撮影:中山治美)

 ツンとした辛味と香りが日本人の郷愁をそそるクレン(西洋わさび)を使った料理を味わえるのは、旧市街の中心地にある 「マセ」。加工肉を中心に独自ブランドの地元食材を製造している「マセ」の直営店で、平日は日替わりランチも提供しています。何をオーダーしても美味しいが、やっぱりオススメはトリエステ名物の燻製ハム、コット・ディ・トリエステのクレンかけ。柔らかくて香りの高いハムに、さらにクレンの風味が加わって、食が、進む、進む。欲張りさんには、サン・ダニエーレやローストビーフなどの盛り合わせがオススメ。味だけでなく、一皿約1500円という価格にも感激。

「マセ」のハム盛り合わせ。これで1500円ぐらい。プレート左下、燻製ハムのコット・ディ・トリエステはクレンをすりおろして食べる(撮影:中山治美)

 クラフトビールとクレンの両方を楽しみたい方は、映画祭のメイン会場テアトロ・ヌオーボ前にある自転車(ビーチクレッタ)とフォカッチャの店、その名も 「チクロフォカッチェリア」へ。

「チクロフォカッチェリア」はサイクリングツアーも行なっている(撮影:中山治美)

 ここのパニーノは、バンズにフォカッチャを使用しているのが特徴で、オーダーするとオーブンで温め直してくれます。するとどうでしょう! 外はカリカリ、中はふわふわのパニーノが完成。上映の合間に、ちゃちゃっと小腹を満たすにも最適な一品なのです。

ハムと西洋ワサビのパニーノ。バンズにフォカッチャを使っているのがポイント(撮影:中山治美)

 そして筆者が毎日でも食べたいほど惚れたのが、キャベツの食感もたまらないハムとクレンのパニーノ。1日の仕事が終わった後、ここでパニーノをつまみに、クラフトビールで喉を潤してからホテルに帰るという、至福のひと時をあじわっていました。ウフフ。

映画祭期間中は関連イベントも盛りだくさん!

 という感じで、ついつい食べ過ぎてしまうわけですが、でも大丈夫。映画祭期間中は関連イベントが市内各所で開催され、メイン会場のテアトロ・ヌオーボでは毎朝、地元のサークルによる太極拳やヨガ教室が無料で行われています。

左/映画祭期間中、旧市街のマッテオッティ広場では折り紙教室も開催される 右/テアトル・ヌオーボではヨガや太極拳が。地元の人たちに混じって参加してみよう!(撮影:中山治美)

 食べて、呑んで、エクササイズして、そして街の歴史を知る。ウーディネ、最高です!

ウーディネ・ファーイースト映画祭 Far East Film Festival WEB
東アジア・東南アジアの作品をメインにした映画祭として、1999年に第1回を開催。以後は毎年4月末に開催され、対象国ごとの特集上映を行い。2019年の開催は4月26日~5月4日。

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