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世界の映画ロケ隊が訪れる赤い街 モロッコ・マラケシュを行く①

 モロッコのほぼ中心に位置し、北アフリカで最大の規模を誇るメディナ(旧市街)を持つマラケシュ。フランス的な雰囲気の漂うカサブランカとも、ヨーロッパからの玄関口である“すれた街”タンジェとも異なり、モロッコらしさを色濃く残すエネルギッシュな古都です。その赤褐色の街並から“赤い街”という異名を持つこの地では、2001年から 「マラケシュ国際映画祭」が開催されています。

マラケシュ国際映画祭メイン会場、Palais des Congres de Marrakech(パレ・デ・コングレ・ド・マラケシュ)(撮影:佐藤久理子)

 この映画祭は「モロッコ王朝のお膝元の都市に国際的な活動をもたらすこと、映画制作の才能を称え、国際文化の交流をはかること」を目的に、モロッコ国王、ムハンマド六世の音頭で始められました。これまでにフランシス・フォード・コッポラ監督やマーティン・スコセッシ監督、ビル・マーレイ、レオナルド・ディカプリオ、マリオン・コティヤールら世界的なスターが多数参加しています。また日本映画との繋がりも強く、過去には是枝裕和監督や青山真治監督、黒沢清監督、塚本晋也監督に映画貢献賞が贈られたことも。

ジャル・エル・フナ広場では野外上映も行われます(写真:佐藤久理子)

 2017年は「熟考の年」として休止されたものの、2018年はセレクション・スタッフも新たに再開(11月30日~12月8日)。新人監督の作品を紹介するコンペティション部門には、長編初監督作となる甲斐さやか監督の 『赤い雪』 (2019年2月日本公開予定)が正式招待され、地元の新聞で「洗練されたアプローチと見事な映像」と高い評価を受けました。

『007』『M:I』シリーズにも登場したマラケシュ

 映画祭に限らず、マラケシュは映画と縁が深い街。この街ならではの風景を求めて、世界中から映画のロケ隊がやってきます。ヒッチコック好きなら、『知りすぎていた男』(1955)に登場したことをご存知でしょう。

 最近では、『007 スペクター』(2015)でジェームズ・ボンドがメディナ(旧市街)をバイクで疾走したり、『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)でイーサン・ハントがマラケシュを訪れたのが印象的です。また、ロマンティックな雰囲気が好きという方には、『セックス・アンド・ザ・シティ2』(2010)で、キャリーたちが泊まったアブダビの高級ホテルが、じつは 「Mandarin Oriental Marrakesh」(マンダリン オリエンタル マラケシュ)で撮影されていたことにも興味をひかれるはず。

羊の頭もならぶ!フナ広場の屋台

 2000年代以降さらに開発が進み、高級ホテルが増えているマラケシュですが、街の中心にある「ジャマ・エル・フナ広場」は昔と変わりません。日が沈むと広場のいたるところで芸人たちのパフォーマンスが始まり、屋台は地元の人と観光客で溢れかえります。マラケシュに来たらまず訪れたいのがここ。街の中心にそびえ立つ77メートルのランドマーク「クトゥビアの塔」を目印にすると、その北東にフナ広場の入り口があります。

クトゥビアの塔は鉄道のマラケシュ駅から車で5分。マラケシュ最大のモスク、クトゥビア・モスクに位置しています。4つの面にそれぞれ異なる装飾がなされた、ムーア様式建築の傑作とも(写真:佐藤久理子)

夜になると人々でごった返すジャマ・エル・フナ広場ですが、昼間はのんびり(写真:佐藤久理子)

 広場に出た屋台には羊の頭(!)などが並び、モロッコ人の常食であるクスクスや羊肉を使ったカバブ、タジン、ハリラと呼ばれるスープなどを食することができます。

ジャマ・エル・フナ広場の屋台。クスクスやタジン、オリーブなどが並ぶ(写真:佐藤久理子)

 もちろん羊以外にもチキンやビーフ、野菜だけのタジンやクスクスも。見とれていると、客引きのお兄さんが声をかけてきますが、地元の人で賑わっているお店を選ぶことがポイントです。

羊の頭もあってびっくり(写真:佐藤久理子)

モロッコ土産は迷路のようなスークで

 フナ広場の北側に広がるのが、アフリカ最大と言われるスーク(市場)。混みいった迷路のようなスークは、時間をたっぷりとって、迷子になるのを覚悟で散歩したいところ。カーペット屋、雑貨屋、バブーシュと呼ばれるモロッコ・シューズの専門店から香辛料屋まで、あらゆる雑多なショップが集まっています。

マラケシュ市民と観光客でにぎわうスークの入り口(写真:佐藤久理子)

 ただしほとんどの場合値段が表示されていないので、交渉する覚悟が必要。モロッコ人によれば、「言われた値段の半額から交渉し始めて、互いの中間ぐらいで落ち着かせるぐらいが適当」とか。辛抱強く交渉しましょう。

スークには、衣類から食料品、日用雑貨、カーペットまで、ありとあらゆる種類の店が軒を連ねています。夢中になりすぎて迷子にならないように…(写真:佐藤久理子)

 イヴ サンローランの幻想的な世界へ モロッコの“赤い街”マラケシュ ② はこちら

マラケシュ国際映画祭 Festival Internazional du Film Marrkech WEB
モロッコ国王が2001年に設立した国際映画祭。毎年12月に開催され、マラケシュが持つ魅力や映画祭のホスピタリティ、欧州から3時間ほどといった場所柄ゆえに欧米から豪華ゲストが集結する。ゲストによる「マスタークラス」も人気。映画人を顕彰する「トリビュート」は華やかかつ注目の部門。

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