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『ラ・ラ・ランド』ミアとセブの足跡を追ってアメリカ・ロサンゼルスへ ②

 女優志望のミア(エマ・ストーン)と、ジャズ・レストラン経営を夢見るジャズ・ピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴスリング)。ふたりの恋と夢と挫折と成功を描く物語が、ロサンゼルス(LA)を舞台にした『ラ・ラ・ランド』(2016)です。それでは早速、ロケ地めぐりの後半を始めましょう。

『ラ・ラ・ランド』ロケ地めぐり①はこちら

ミアとセブが距離を縮める「グリフィスパーク」

 ミアとセブがぐんと距離を縮める 「グリフィス天文台」(2800 E. Observatory Rd., Los Angeles, CA 90027)は 「グリフィスパーク」の中に。道中のフランクリン・アベニューとビーチウッド・ドライブの交差点からは、「HOLLYWOOD」のサインをしっかり見ることができるので、途中下車して思い出の一枚をパチリとしてもいいですね。おしゃれなカフェやブティックが並ぶロスフェリス方面に車を走らせるとグリフィスパークの入り口が出てきます。

「グリフィスパーク」は都会のオアシス(撮影:町田雪)

 ここからグリフィス天文台へと上がっていくのですが、その途中には、ミアとセブが手をつないでデートをする散歩道 「Ferndell」(ファンデル)があります。「LAにこんなオアシスが?」と驚くほど、静かな自然に囲まれたトレイルは、地元住人の憩いの場。幸せ絶頂のミアとセブを想いながら、気持ちのいいお散歩を。散策のあとは、くねくね道をドライブしながら「グリフィス天文台」へ。

左/「ファンデル」のトレイルは地元住人の憩いの場 右/「グリフィス天文台」は観光名所(撮影:町田雪)

 観光名所である「グリフィス天文台」は、ミアとセブの関係のなかで何度も登場します。映画館で一緒に観ていた『理由なき反抗』(1955)の上映が映写機の不調(?)で止まったときに、「いい案がある!」というミアの提案で2人が向かったのもココ。天文台裏側のテラスから見る夜景も必見です。

左/天文台の裏側にはLA全体を見渡せるテラスが 右/天文台で撮影された『理由なき反抗』。主演したジェームズ・ディーンの銅像は写真撮影スポットとして人気。遠くには小さく「HOLLYWOOD」サインも(撮影:町田雪)

 夜の無人の天文台に足を踏み入れたミアとセブは、高周波・高発電で光を放つ「テスラコイル」(共振変圧器)に驚き、「フーコーの振り子」の周りでダンスを踊り、無人のプラネタリウムで星空をライトアップ。その後、星空へと昇り、再びロマンチックなダンスを踊ります。

左から/天文台の見どころである「テスラコイル」、「フーコーの振り子」、プラネタリウムの入り口(撮影:町田雪)

 2人はそれぞれの夢を叶えて、スターダムに駆け上がることができるのか? そして、スターになれたとしても、しっかりと手をつなぎ合っていられるのか? この後に訪れる2人の試練と運命を暗示するような、ロマンチックで切ないミュージカル・シーンです。

老舗レストラン「ザ・スモークハウス」は実在

 次は、セブがピアノを弾くレストラン内でのシーンが撮影された、バーバンクの老舗レストラン 「The Smoke House」(ザ・スモークハウス 4420 W Lakeside Dr, Burbank, CA 91505) へ。

セブとミアが出会うバーの店内として登場(撮影:町田雪)

 前回紹介したスターの壁画「ユー・アー・ザ・スター」前を歩く傷心のミアが開けた扉の先、バー「Lipton’s」の店内がココです。セブのピアノに感動したミアが声をかけようとするも、プレイリストを無視したがために、店長から解雇を言い渡されたセブはミアを無言でスルー。のちに、この対応を後悔することになるのです。

左/外観もザ・アメリカンなテイスト? 左/名物のプライムリブとガーリックチーズ・ブレッド、シーザーサラダ(撮影:町田雪)

 今回は、同店の名物であるプライムリブとガーリックチーズ・ブレッド、シーザーサラダをオーダー。日本人の舌にはやや濃いめのお味かもしれませんが、ザ・アメリカンなテイストを試すなら由緒正しいこのレストランをおすすめします。

ハモサビーチで「シティ・オブ・スターズ」を

 最後は、セブがミアにジャズ愛を語るライブハウスと、名曲「City of Stars」(シティ・オブ・スターズ)を歌う桟橋がある ハモサビーチへ。「ハモサ」とはスペイン語で「美しい」という意味。バーバンク周辺からは1時間(渋滞時は1時間半)ほどのドライブで到着するLA南方のビーチタウンです。メインストリートからビーチにつながる広場の両側にはヤシの木が立ち並び、バーやレストランは昼夜、地元住人や観光客で賑わっています。

桟橋へ続く広場にはヤシの木とバー、カフェが立ち並ぶ(撮影:町田雪)

 広場のなかでも桟橋に近い場所に位置する 「The Lighthouse coffee」(ザ・ライトハウス・コーヒー 30 Pier Avenue Hermosa Beach, CA 90254)は、同作に何度か登場します。最初は、セブが「ジャズ嫌い」というミアに、ジャズの魅力と自分の夢を語り尽くすシーン。次は、恋人同士となった2人が訪れ、セブの演奏に合わせてミアが踊りまくるシーン。このとき、2人の運命を変えるきっかけとなる、セブの昔のバンド仲間、キース(ジョン・レジェンド)と出会います。

「ザ・ライトハウス・コーヒー」の正面。映画では建物の裏から出る2人の姿が(撮影:町田雪)

 この店で、オーディションの次段階に進むことが決まったミアの“演技のリサーチ”を口実に、次のデートの約束をとりつけたセブ。お店を出てミアと別れたあとに向かうのが、ハモサビーチの桟橋です。

海と砂浜とカモメが迎えてくれるハモサビーチの桟橋(撮影:町田雪)

 誰かに夢を語ることができた充実感と、その誰かとの恋の予感に包まれたセブは、同作の主題歌のひとつ「シティ・オブ・スターズ」を口ずさみながら、桟橋を漂います。途中、行きずりのカップルの女性と踊り、男性が「おいおい」と彼女を取り返して踊り始めるという微笑ましい場面も。黄昏時が神秘的な桟橋ですが、晴れた日の景色も最高です。

晴れた日の景色も最高(撮影:町田雪)

 『ラ・ラ・ランド』は、ミアとセブが選んだ道について2つの結末を見せます。恋と夢。安定と冒険。家族と仕事。人に寄り添いたい気持ちと夢を追究したい気持ち――。このラストシーンの2人の表情は、どの道を選ぶにせよ、今の幸せを信じて前を向くことが大切だと物語っているように感じます。

 観客は、「これでよかったんだ」と信じつつ、「やっぱり切ない」とも思ってしまうのですが。この複雑で矛盾した感情は、夢と光、涙と葛藤に満ちたLAに対して抱くものと、似ているような気もします。ミアとセブの足跡をたどりながら、そんなLAをめいっぱい感じてみてください。

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