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『ラ・ラ・ランド』ミアとセブの足跡を追ってアメリカ・ロサンゼルスへ ①

 どこまでも広がる青い空と海、ハリウッド映画で輝くスターたち、巨大ビルボードから視線を放つミュージシャン。世界中から夢追い人が集まるロサンゼルス(LA)には、そんな華やかなイメージがありますが、同時にその何万倍もの涙と挫折と葛藤が渦巻いている街でもあります。

 その光も闇もひっくるめて、当時32歳のデミアン・チャゼル監督がLA愛を込めたのが、ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』(2016)。女優志望のミア(エマ・ストーン)と、ジャズ・レストラン経営を夢見るジャズ・ピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴスリング)の、恋と夢と挫折と成功を描いた物語です。今回は、LAで日々繰り広げられている無数のドラマを代表するような2人の足跡を追いながら、同作のロケ地をご紹介します。

運命のフリーウェイ105号線と110号線の合流地点

 渋滞にハマった人々が、車から飛び出して踊りだす――。そんな歴史に残る6分におよぶオープニングが撮影されたのは、 ロサンゼルス国際空港(LAX)からダウンタウンへ向かうフリーウェイ105号と110号線の合流地点。

『ラ・ラ・ランド』の一場面。LA空港からダウンタウンへ向かうフリーウェイ105号と110号線の合流地点 (C) picture alliance / Photoshot

 海外や他州からLAに降り立った人々の多くが通過し、視界と期待が一気に広がる地点でもあります。一方で、住人にとっては渋滞が悩ましく、クラクションや苛立つ人々の顔が思い浮かぶ場所(ミアとセブもそんな苛立ちのなかで初対面)。でも、交通渋滞を珠玉のダンスシーンに仕立ててくれた同作のおかげで、いまや渋滞に陥っても、同シーンのナンバー「Another Day of Sun」(アナザー・デイ・オブ・サン)を脳内で奏でれば、なんだか気持ちが明るくなるのです。

ミアとセブのデートスポット「グランドセントラル・マーケット」

 とはいえ、できれば避けたい(笑)渋滞を抜けて、最初に向かうのはダウンタウン。1917年からLAの名所となっている 「Grand Central Market」(グランドセントラル・マーケット 317 S. Broadway Los Angeles, CA 90013)には、アメリカ、中東、中華、イタリア、ベーカリー、カフェ、日本のお弁当やラーメンを売るスタンドなど、多国籍&多ジャンル料理が揃っています。

グランドセントラル・マーケットはダウンタウンのど真ん中に(撮影:町田雪)

 そのほぼ中央に位置するのが、ミアとセブがデート中に立ち寄るププーサ店 「Sarita’s Pupuseria」(サリタス・ププーセリア)。ちゃんと、『ラ・ラ・ランド』のポスターも貼ってあります。2人が座ったのは、角の席です。

ミアとセブがデートで訪れるサリタス・ププーセリア(撮影:町田雪)

 ププーサはエル・サルバドルの名物料理で、とうもろこしや小麦粉でできた柔らかいトルティーヤに、肉や豆、チーズなどを挟んで焼いたおやきのようなもの。キャベツを主とした千切り野菜のピクルスと一緒にいただきます。ピクルス自体に唐辛子やハラペーニョが入っているため、辛味と酸味があり、シャキシャキとした触感が、アツアツのププーサによく合います。このププーサやメキシコ料理をはじめ、LAはおいしい南米料理が充実しているので、ぜひ、いろいろと試してみてくださいね。

千切り野菜のピクルスを添えていただくププーサ。こちらはビーンズ&チーズ入り(撮影:町田雪)

 朝食なら、ププーサ1枚でお腹が満たされるものの、同マーケットで最も行列ができる卵専門スタンド 「eggslut」(エッグスラット)も素通りできず。卵を主としたバーガーやサンドイッチがそろうメニューのなかでも、名物となっているのがコチラの「スラット」です。

左/行列ができる「エッグスラット」 右/名物メニューのスラット(撮影:町田雪)

 ガラスの瓶に詰まったピュレー状のマッシュポテトの上に、半熟卵とアサツキが乗ったもので、薄いバゲットをつけて食べます。ライトな印象ですが、炭水化物もたんぱく質もしっかりとれる満足の一品です。

恋のメッカ、エンジェルス・フライト・レールウェイ

 お腹がいっぱいになったら、同マーケットの向かいにある世界最短の鉄道(ケーブルカー)、 「Angels Flight Railway」(エンジェルス・フライト・レールウェイ 356 S Olive St, Los Angeles, CA 90013-1003)へ。映画のなかで、上り行きのケーブルカーに乗ったミアとセブは、わずか数分の乗車時間も惜しむようにキスを交わします。

ミアとセブが上部座席でキスを交わす「エンジェルス・フライト・レールウェイ」は片道1ドル(撮影:町田雪)

 もともと1901年に始動し、閉鎖や引っ越しを繰り返しながら運行するも、2001年に閉鎖。『ラ・ラ・ランド』の撮影時には、1日だけ特別運行したそうですが、昨年、ついに本格的な再始動となりました。

乗り物好きにも見逃せないはず(撮影:町田雪)

 上りのライドを降りると、ミアとセブがダンスを披露する広場があります。お互いが好きでたまらない2人が、息ぴったりにステップを踏む姿がかわいいシーンですが、実際にこの広場に立ってみると、確かに踊りだしたくなるような空間。混雑していない平日がおすすめです。ここは、『(500)日のサマー』(2009)でも、主人公カップルがデートする場所として使われています。

ミアとセブがステップを踏む上り降り口の広場(撮影:町田雪)

 ほかにもダウンタウンには、歴史的な建物や多くの映画のロケ地となったスポットがたくさんあります。一方通行が多いため、車での移動は大変ですが、街に設置されている自転車シェアサービス 「BikeMetro」(バイクメトロ)で自転車をレンタルして散策してみてはいかがでしょうか?

最近は、LAのいたるところに設置されている自転車スタンド(撮影:町田雪)

ハリウッドスターの壁画“You Are The Star”

 次に向かうのは、ハリウッド。オーディションに落ち、パーティに誘われるもノリ切れず、おまけに車もレッカー移動されてしまった傷心のミアが、トボトボ歩くシーンに映る、スターたちの壁画 「You Are The Star」(ユー・アー・ザ・スター Wilcox Ave. & Hollywood Blvd. Los Angeles, CA 90028)を目指します。

往年のハリウッドスターがこちらを見つめる「ユー・アー・ザ・スター」(撮影:町田雪)

 同壁画は、劇場に集ったチャーリー・チャップリンやマリリン・モンロー、クラーク・ゲーブルら往年のスターの前を歩くことで、自身がスター気分を味わえるというもの。映画では、その右手に見える、ドアの上に「Lipton’s」(リプトンズ)とバーのサインがついた店から、セブの弾くジャズのピアノ演奏が聞こえてきます。切ない音色に誘われるようにドアを開けたミアは、ここでセブと再会することに。ただし、実際には企業のオフィスへの入り口であるため、中には入れません。「リプトンズ」の内部として撮影された別のレストランは次回ご紹介しましょう。

 <次回はグリフィス天文台やハモサビーチの桟橋なども登場!>

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