主人公の症状を利用し、ストーリーの時間軸をバラバラにした上で組み立てた複雑な構成は、まるでテープを逆にみているように感じる。水前寺清子の歌じゃないが「3歩進んで2歩下がる」まさにそんな感じで、見終わった後正しい順序でもう一度見てみたくなる。DVDにはこの特典がついているらしい。(あいにくレンタルされていなかった)。ストーリーのラストシーンから始まるこの映画を見ていると、映画は必ずしも結末が大事なのではないんだなあと実感する。
ここからはネタバレになりますが・・・
この男、実は前向性健忘ではないのですよね(?)。それとは違った、心の病だったんだなあと私は解釈しました。だって、妻が殺害された後、都合よく自分の記憶を書き換えているんだもの。これは先に言った病気ではないよね(?)。人の生きる動力(糧)って、正のエネルギーだけではないのですね。負があってこそ生きられる。そういう人もたくさんいるのですね。この主人公はまさにそう。『復讐』というマイナスエナジーがなければ、この人はきっと死んでしまうでしょう。自分を生かす手段として、彼はきっと前向性健忘になることをを無意識のうちに選択したのではないでしょうか。人間の弱さ、醜さが小気味いいくらい顕わになって、見終った後はなんだかせつなくなります。
それとも、せつなくなるのは、ガイ=ピアースが私のモロ好みの男であるからかしら・・・。
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