死神が現れるのは、人が不慮の死を迎える7日前。観察期間の後、死か生かを決めるのが仕事だ。死神の新たなターゲット藤木一恵を演じるのは、映画、ドラマ、バラエティと幅広く活躍する小西真奈美。役名での歌手デビューも控える彼女に、役作りや歌への挑戦について話を聞いた。

― 最初にオファーが来たときにはどう思われましたか?
小西真奈美(以下:小西):
死神という設定を、多くの人はファンタジックな、非現実的なものだと捉えがちだと思います。私は逆に、脚本を読ませていただいたときに、ある違う視点をくれる存在として捉えたので、すごくリアリティがあって。
伊坂さんならではの軽快な感じ、ユーモアのある感じを大事にしながら、深いところを描いてる作品だという印象がありますね。
― 一恵は家族を亡くし、恋人にも先立たれた薄幸の女性。役作りで意識されたところは?
小西: 基本的には、心に孤独を抱えている女性なので、うつむきがちだったり、シャキッと前を向いているというよりは、ちょっと姿勢も内側に向かってる感じなんです。
彼女が死神である千葉さんと出会って、ふっと心がなごんだりとか、笑顔になる瞬間が随所にあるんですけど、生きている中で楽しい瞬間、笑顔になる瞬間を忘れてしまっていた女性が、ふっと幸せな気持ちになる瞬間を大事に演じたいな、という気持ちでいました。

― 「藤木一恵」名義での歌手デビューも控えてらっしゃいますね。
小西: レコーディングは、まったく初めてのことだったので、すごく深いな、と。難しさも感じましたし、それと同じくらいいい刺激をもらって、すごく楽しい作業でもありました。
一番嬉しかったのは、実際に映画が出来上がって、一緒に試写を観たスタッフや共演者の方や、完成披露試写で歌を聴いた方から、「映画の余韻に浸れるし、映画にリンクしているところあるから良かった」っていう言葉をたくさんいただいたことですね。
何かしら映画とリンクするもの…この歌を聞くと、あの映画を思い出すっていうものに仕上がればいいな、という気持ちでやらせていただきました。歌を歌うことが、この作品の中ではすごく大きい意味をもっているものだったので、そういう言葉をもらったときはすごく嬉しかったですね。
― 記者会見で、「金城武さんは現場でアイデアを出す方」だとおっしゃってましたが…。
小西: (金城さんとの)掛け合いのシーン、からみのシーンは、すべてにおいてお互いにアイデアを出しながら作っていきました。どれがアイデアを出したものなのか、どれが監督に却下されたものなのか、全部覚えていないぐらい(笑)。その場その場で細かく2人で出し合って、監督に見ていただきました。ほぼ全部そうでしたね。

― 筧昌也監督と一緒にお仕事されていかがでしたか?
小西:
ともに作品を作ろうとする感覚のある監督だと思いました。たとえば、役者が「じゃあ、私たちがやってみます」と言って、実際に監督に見せるんです。脚本とは違う動きになっていたり、書かれていない台詞があっても、リアリティがあったり、むしろ良いものになっていれば、それを受け入れてくださって。一緒に作品を作っていけるというのは、すごく面白かったですね。
― 小西さん自身が千葉に「君は死ぬことについてどう思う?」と訊かれたらどう答えますか?
小西:
うーん。「それがあるから、今を精一杯生きられる」という答えを返すかもしれないですね。

― 死を描きながら生き方を考えさせる内容ですが、完成した作品を観ていかがでしたか?
小西: すごく深いことを描いている作品なので、ところどころ切なくなったりすることもあるんですけど、見終わったあとに、なんともいえない爽やかな気持ちになりまして。もし、映画館に観に来てくださった方がいたら、映画館を出るときに希望をもった気持ちになっていただけるかな、という作品になっていたのは嬉しかったですね。
― 今後挑戦したいジャンルや役柄は?
小西:
役はたくさんあります。「たとえば、これとこれと」と言えないくらい、日々思い浮かぶことはあるんですけど…。
いつも思うのは、年齢を重ねるごとに、いろんなことに臆病になったり、自分はこれが得意だからこれだけしかやらないという絞込みはしないで、チャレンジする気持ちや好奇心を持って臨む気持ちはなくさないでいきたいな、とは思っています。

― 海外で活躍したいというお気持ちは?
小西:
そうですね。機会があれば。違う環境の中で、色々なものを観たり、聞いたり、感じたりして育ったクリエイターと一緒に仕事をするというのは、刺激的なことだと思います。そういった意味では、機会があれば海外の方ともお仕事をしたいですね。
― 映画を楽しみにしている皆さんにメッセージを。
小西:
クスリと笑えたり、せつなくなったり、最後には希望のある、映画館ならではのよさが詰まっている作品だと思うので、ぜひ劇場に足を運んで観ていただければ、と思っています。
繊細、儚さ、透明感。スクリーンの中にいる小西真奈美には、いつもそんな形容詞がつきまとう。だが、インタビューで対面した彼女は、背筋をぴんと伸ばし、しなやかな強さを感じさせる女性だった。本作で演じた薄幸な女性役も、バラエティの軽快なトークも、すべてさらりとこなしてしまう。この柔軟さが彼女の最大の魅力なのかもしれない。
Sweet Rain 死神の精度
死神が現れるのは、人が不慮の死を迎える7日前。観察期間の後、「実行」か「見送り」かを判断するのが仕事だ。楽しみは、CDショップで、“ミュージック”を聴く事である。今日の「ターゲット」は、27歳の一恵。家族を亡くし、恋人にも先立たれた薄幸の女性だ。しかし、ひょんなことから音楽プロデューサーが彼女の声に惚れ込み、歌手にならないかとスカウトされる。一恵の将来を期待し、死神は死を「見送り」にする。
[ 2008年3月22日(土) 丸の内プラゼール他全国ロードショー ]
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