ドクター・フィールグッド オイル・シティ・コンフィデンシャル
勘三郎の魅力を満喫できる嬉しさ
物語は、溝口の名作”近松物語”のパロディで始まる。それもあの有名な、宮川一夫のベスト・ショットとまで賞賛される”琵琶湖に浮かべた舟の上で心中しようとする直前、茂兵衛がおさんに愛を打ち明け、おさんがその告白にほだされて心中を断念する”あのシーンである。おさんの名はそのままだが、さすがに茂兵衛の名だけは与兵衛と変えているのだが、ご丁寧にも心中のためにおさんの足を縛るところまでそのままである。
その直後、突如水面が激しく波立ち、てれすこの出現が示唆されるのだが、怪物が登場する時の伝統的効果音―太鼓を連打するあのヒュードロドローに換えてガーシュインの”ラプソディー・イン・ブルー”を使った発想が実にユニークである。つまり怪物が登場するさまを大都会ニューヨークの目覚めと一日の営みの始まりで象徴し、その後の江戸の混乱振りを都会の喧騒で表現するという組み合わせでまず度肝を抜いてくる。
さらに、キャスティングも異質な取り合わせである。勘三郎が歌舞伎の人情噺の主人公そのものの軽妙洒脱なお人よしの弥次郎兵衛を演じれば、柄本が舞台人特有のオーバーアクションのクサイ演技で喜多八を演じ、小泉は持ち前のソフィスティケイトな雰囲気でしらけたというかとぼけたというかおよそ江戸の遊女らしからぬカマトト振りを発揮する。
こうした三人三様の異なったキャラクターの組み合せが、絶妙なおかしみを生みだしていく。落語のネタづくしで、十返舎一九の有名な五右衛門風呂も台詞だけだし、団子もお喜乃が一人で食べているのも全く気にならない。多彩な脇役たちが、僅かな出番で格好なスパイス役を果たしているのもまた楽しい。
スタッフ・キャスト全員が大いに楽しみながら作り上げていく過程の中で、数多くのハイブリットな着想が生まれて来たと想像でき、理屈ぬきで上質のエンタテイメントに仕上がっている。
その直後、突如水面が激しく波立ち、てれすこの出現が示唆されるのだが、怪物が登場する時の伝統的効果音―太鼓を連打するあのヒュードロドローに換えてガーシュインの”ラプソディー・イン・ブルー”を使った発想が実にユニークである。つまり怪物が登場するさまを大都会ニューヨークの目覚めと一日の営みの始まりで象徴し、その後の江戸の混乱振りを都会の喧騒で表現するという組み合わせでまず度肝を抜いてくる。
さらに、キャスティングも異質な取り合わせである。勘三郎が歌舞伎の人情噺の主人公そのものの軽妙洒脱なお人よしの弥次郎兵衛を演じれば、柄本が舞台人特有のオーバーアクションのクサイ演技で喜多八を演じ、小泉は持ち前のソフィスティケイトな雰囲気でしらけたというかとぼけたというかおよそ江戸の遊女らしからぬカマトト振りを発揮する。
こうした三人三様の異なったキャラクターの組み合せが、絶妙なおかしみを生みだしていく。落語のネタづくしで、十返舎一九の有名な五右衛門風呂も台詞だけだし、団子もお喜乃が一人で食べているのも全く気にならない。多彩な脇役たちが、僅かな出番で格好なスパイス役を果たしているのもまた楽しい。
スタッフ・キャスト全員が大いに楽しみながら作り上げていく過程の中で、数多くのハイブリットな着想が生まれて来たと想像でき、理屈ぬきで上質のエンタテイメントに仕上がっている。
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