生きものの記録
失敗作でなく、名匠の手本となった名作
黒澤映画の中で、この作品を失敗作にあげる人は多いと思う。私も、最初に観たときは、一連の黒澤映画の中では失敗の部類と思ったひとりである。
ところが、この作品のあとより、まったく同じテーマをもとにした映画を製作した監督が出てきた。その代表例が、ベルイマンの「冬の光」とタルコフスキーの遺作「サクリファイス」だ。その二作を観たあとにもう一度、「生きものの記録」を観ると、原爆に怯える主人公の狂気が狂気に見えず、自分と同じ感性の者に見えてきて、はじめてこの作品の良さを発見した次第である。
「生きものの記録」がなぜヨーロッパの映画監督の共感を得たのか。それは、多分、神が存在しているか否かについて、考えさせられたからだと思う。人間の造った狂気の沙汰のような兵器には、神の存在など無価値、と思わざるおえない。その危機感が「生きものの記録」と同じテーマの映画を作らせたような気がする。
だから、黒澤もこの作品では、もっと神に言及してみてもよかったのでは、と思う。そうしていれば日本人たちの見方も違ったものになっていたような気がする。ただ、世界で唯一、原爆の怖さを知っている民族なのだから、神に関係なく、黒澤が放つメッセージに、もっと素直に気づかなければならなかった、と思うのだが...。
ところが、この作品のあとより、まったく同じテーマをもとにした映画を製作した監督が出てきた。その代表例が、ベルイマンの「冬の光」とタルコフスキーの遺作「サクリファイス」だ。その二作を観たあとにもう一度、「生きものの記録」を観ると、原爆に怯える主人公の狂気が狂気に見えず、自分と同じ感性の者に見えてきて、はじめてこの作品の良さを発見した次第である。
「生きものの記録」がなぜヨーロッパの映画監督の共感を得たのか。それは、多分、神が存在しているか否かについて、考えさせられたからだと思う。人間の造った狂気の沙汰のような兵器には、神の存在など無価値、と思わざるおえない。その危機感が「生きものの記録」と同じテーマの映画を作らせたような気がする。
だから、黒澤もこの作品では、もっと神に言及してみてもよかったのでは、と思う。そうしていれば日本人たちの見方も違ったものになっていたような気がする。ただ、世界で唯一、原爆の怖さを知っている民族なのだから、神に関係なく、黒澤が放つメッセージに、もっと素直に気づかなければならなかった、と思うのだが...。
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