天国と地獄
ヤクザ嫌いの黒澤の、悪に対する偏見
高校生の時に、この映画をはじめて観たのは
映画館ではなく、近くの公民館だったのですが、
会場は折りたたみの椅子を並べて、
外から持ち込んだ16ミリ映写機を机の上に
簡易的に備えつけただけの自主上映会だったので、
一巻終わるごとにフィルムの入れ替え作業のために
上映が中断され、会場からその度にため息が洩れていました。
まぁ、それくらい本作は、クライマックスが一巻ごとに
用意されていると言えるわけで、
スピルバーグやルーカスがお手本にするのも頷けます。
本作は、犯人を、自分の置かれている境遇を地獄だと
思い込んでいるパラノイアとして描いていますが、そのために、
単純な勧善懲悪物に終始してしまっているのが残念です。
天国にも地獄、地獄にも天国の部分があることを見せなければ、
社会の本質にまで切り込めないので、その時は満足できても、
観賞後の余韻は長く続かないと思います。
本作の練りに錬られたシナリオは、非の打ち所がありません。
黒澤明は、撮影の邪魔になる民家を壊させてまで、
シナリオのイメージを完璧に視覚化して、
巨匠の力量を見せ付けます。併しそのために、
観客に行間を読む楽しみを奪ってしまっているのも確かです。
例えば仲代達矢演じる警部が、犯人の行動を逐一解説する台詞が
説明的なように、状況描写も台詞にも遊びの部分がなく、
映像に広がる余地が生まれないのです。
ラストシーンで山崎努が、刑務所の面会室の金網をつかんで
叫ぶシーンはアドリブだったらしいのですが、
黒澤明はそれを気に入り、映画に使っているように、
彼も役者からのインスピレーションを期待していたはずです。
併しそれが、映画全体に感じる事ができないのは、
天皇黒澤に意見するスタッフやキャストが、
周りにいなかった事の悲劇なのではないでしょうか。(75点)
映画館ではなく、近くの公民館だったのですが、
会場は折りたたみの椅子を並べて、
外から持ち込んだ16ミリ映写機を机の上に
簡易的に備えつけただけの自主上映会だったので、
一巻終わるごとにフィルムの入れ替え作業のために
上映が中断され、会場からその度にため息が洩れていました。
まぁ、それくらい本作は、クライマックスが一巻ごとに
用意されていると言えるわけで、
スピルバーグやルーカスがお手本にするのも頷けます。
本作は、犯人を、自分の置かれている境遇を地獄だと
思い込んでいるパラノイアとして描いていますが、そのために、
単純な勧善懲悪物に終始してしまっているのが残念です。
天国にも地獄、地獄にも天国の部分があることを見せなければ、
社会の本質にまで切り込めないので、その時は満足できても、
観賞後の余韻は長く続かないと思います。
本作の練りに錬られたシナリオは、非の打ち所がありません。
黒澤明は、撮影の邪魔になる民家を壊させてまで、
シナリオのイメージを完璧に視覚化して、
巨匠の力量を見せ付けます。併しそのために、
観客に行間を読む楽しみを奪ってしまっているのも確かです。
例えば仲代達矢演じる警部が、犯人の行動を逐一解説する台詞が
説明的なように、状況描写も台詞にも遊びの部分がなく、
映像に広がる余地が生まれないのです。
ラストシーンで山崎努が、刑務所の面会室の金網をつかんで
叫ぶシーンはアドリブだったらしいのですが、
黒澤明はそれを気に入り、映画に使っているように、
彼も役者からのインスピレーションを期待していたはずです。
併しそれが、映画全体に感じる事ができないのは、
天皇黒澤に意見するスタッフやキャストが、
周りにいなかった事の悲劇なのではないでしょうか。(75点)
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