『EURICAユリイカ』でカンヌに絶賛された青山真治監督が贈る『Helpless』の続編。『ユリイカ』とも合流しているので、“北九州サーガ”の集大成的作品とも言えそうだ。前作では、父親との関係性を描いていたが、本作では、それが母に変わった。決して切ることの出来ない「血」の関係を軸に、女性が持つ、母性としたたかさを鋭い洞察力で描き切った。前2作と同様、濃密な時間を堪能できる。出演は、浅野忠信、宮崎あおい、川津祐介ら、青山作品の常連メンバーの他、聖女と悪女が同居する母親役に石田えりが迎えられた。また、オダギリジョーも青山作品に初登場。出演シーンもセリフも少ない中で、強烈な存在感を放っている。
『Helpless』から11年、『EUREKA ユリイカ』から7年。青山真治が描き出してきた“北九州サーガ”の集大成。“ゆるぎない女たち”が運命に翻弄される男を未来へと導く。原作・監督・脚本は青山真治。出演は浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、板谷由夏、中村嘉葎雄、オダギリジョー。
中国からの密航者が乗った一隻の船が、北九州の港に到着する。彼らの手引きをしていた健次(浅野忠信)は、船内で父親を亡くしてしまった少女アチュンを連れて家へと逃げ帰る。健次は5歳のときに母親が蒸発、そ…
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中国からの密航者が乗った一隻の船が、北九州の港に到着する。彼らの手引きをしていた健次(浅野忠信)は、船内で父親を亡くしてしまった少女アチュンを連れて家へと逃げ帰る。健次は5歳のときに母親が蒸発、それによって精神を病んだ父親も自殺してしまった過去をもっている。アチュンを連れ帰った家には、ある事件をきっかけに幼馴染でヤクザだった安男の妹・ユリ(辻香緒里)が同居している。知的障害者のユリ、無邪気で幼いアチュンとの新たな共同生活に、健次は安らぎを感じはじめる。若戸大橋のたもとに間宮運送という小さな運送会社がある。社長の間宮(中村嘉葎雄)は、かつてバスジャック事件の被害を受けた梢(宮崎あおい)、借金取りに怯える後藤(オダギリジョー)、ヤクザに追われる者、資格を剥奪された医師など、一癖ある流れ者たちに食と住処を与えていた。行き場のない彼らを放っておくことができなかったのである。中国人の追っ手から逃れるべく、運転代行業へ転職した健次。ある日引き受けた仕事は間宮を会社まで送り届けることだった。玄関先に出てきた間宮の妻・千代子(石田えり)の姿を見て、健次は驚愕する。千代子は、かつて自分を捨てて失踪した母親その人であった。母と息子は再び出会い、ユリたちを交えてひとつ屋根の下で暮らし始める。間宮運送で雇ってもらい、表向きは楽しげに働いているように見える健次だったが、腹の中は母親への復讐心でいっぱいであった。しかし日に日に大きくなる母親の存在に惑わされ、翻弄され、健次は自分を上手く保つことができない。唯一心を通わせる恋人の冴子(板谷由夏)にも、ついイライラをぶつけてしまう。母親への恨みをたぎらせる息子と、その彼を包み込むように受け止める母親。自分の前に立ちはだかる母性の壁を、健次は破っていくのか、それとも……梢、ユリ、冴子、そして千代子、“ゆるがない女たち”が、男たちを未来へと導いていく。